私が好きな映画が、2つあります。
1つが「ゴッドファーザー」です。フランシス・フォード・コッポラ監督の三部作で、1972年に公開され、続編として1974年に「PART2」、1990年に「PART3」が公開されました。アメリカのイタリア系マフィア「コルレオーネ・ファミリー」をめぐる、マフィアの勢力争いの歴史を描いたものです。
私が、この映画を好きなのは、人間像がよく描かれているところです。特に、ドン・コレルオーネ(マーロン・ブランド)の重厚さと、その子供たちの末弟のマイケル(アル・パチーノ)の"シャープ"なところが好きです。また、長男ソニー(ジェームズ・カーン)の粗野で乱暴なところも魅力がありました。
マイケルは、コレルオーネ家を継ぐのですが、家庭的には、すぐ上の兄フレドを殺し、妻のケイ(ダイアン・キートン)ともうまく行きません。抗争に勝利するものの、家族の大半を失います。
2つ目は「月の輝く夜に」です。この作品はノーマン・ジュイソンが監督で、1987年に公開されました。
ニューヨークのリトル・イタリーを舞台にしたもので「ゴッドファーザー」と比べたら、何の変哲もない日常の中に起きる出来事を描いたものです。主演はシェールとニコラス・ケイジで、平凡な日常を過ごす人々が、何とも言えない温かさで描かれている点が、好きです。
ホームドラマの殻を打ち破った衝撃作が「岸辺のアルバム」
「ゴッドファーザー」と「月の輝く夜に」という優れた作品を、「家族」という切り口で見ると、全く異なる結果になるのですが、日本のテレビドラマで「家族」という観点から見て、一番インパクトがあるのが「岸辺のアルバム」だと思います。
「岸辺のアルバム」は1977年にTBSで放送された連続ドラマで、山田太一の原作・脚本です。倦怠期を迎えた夫婦の危機と、子供たちが大人になる過程での苦悩、家族が崩壊していく様が描かれ、最後に水害により家が崩壊します。
最終回で、家を失う家族が必死で持ち出すのは家族アルバムですが、それまでの「家族で食卓を囲んで、最後はハッピーエンド」という、ホームドラマの殻を打ち破りました。