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コロナ不況下でなぜ株価だけが上がり続けている?

   さて、コロナバブルが止まらない。30年半ぶりに3万円台に到達している。

   今日(2月26日)は米国市場の株安を受けて売りがふくらみ、日経平均株価の下げ幅は一時900円を超えたが、これは一時的なものだろう。

   だが、誰しもが不思議に思うのは、コロナ不況の下でなぜ株価だけが上がり続けているのかということである。

   SMBC日興証券が、2月4日までに決算を発表した金融を除く636社の決算を集計したら、6割の384社が赤字か減益だったという。

   新潮で第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣はこう解説する。

   「ここまで株価が上がっているのはコロナショックが原因で、その根底にあるのは世界の金融・財政政策です。世界的な金あまりの結果、行き場を失ったお金が実体経済ではなく、株式市場に向かっていると考えられます」

   そんなに金が余っているのなら、私のところに少しは流れてきそうなものだが、一向にその気配はない。

   まあ、バブルというのだから遠からず破裂する。貧乏人は、それを楽しみに寝ながら待つとしよう。

   2月23日に起きた地震には肝を冷やした。出先の越後の古い湯宿で酒を飲んでいる時、スマホから緊急地震速報が流れた。揺れが長かった。

   NHKを見たら震度5強だった。10年前の東日本大震災の余震だそうだが、東北は震度6強。生きた心地がしなかっただろう。

   ポストは、この10年で緊急警報や被害予測は進化しているという特集を組んでいるが、確かに今回、地震後すぐに「津波の心配はない」と報じられた。私がいたところは山のなかだから津波は気にならなかったが、なぜ、そんなに早く津波は来ないといえるのか疑問に思った。

   気象庁地震課によると、「EPOSという地震活動等総合監視システムの成果」だそうだ。

   地震の規模や震源位置の推定機能を持つ多機能型の地震計や、震度を計測する震度計、津波の観測機器などが全国で1000地点に設置されていて、加えて、自治体などが設けた5000地点を超える観測施設からも24時間、休まずEPOSに送られ、蓄積されるそうだ。

   私は緊急地震速報というのが嫌いだ。あれが流れると心臓が止まりそうになる。ときには流れても地震が起きないときもある。

   だがそういうことは少なくなってきているようだ。それは気象庁が18年に導入した新システム「PLUM法」のおかげだという。

   「震源や規模の推定はせず、地震計で観測された揺れの強さから震度を予想します」(同)

   人を介さずに自動配信されるそうだ。こうした地震が起きてからの速報や津波のあるなしは確実に進歩しているようだが、肝心の、地震がどこでいつ起きるのかは、まだまだのようだ。地震大国ニッポンは、地震予知を諦めないで、そこにこそ金をつぎ込むべきだと思う。

   最後に郷ひろみという歌手の話。新潮が創刊65周年で、いろんな人にインタビューしている。今週は郷、65歳。たしかに見た目は昔と変わらない。どんな秘訣があるのだろう。

   ジムでトレーニングや腹筋を鍛えるためのスクワットを毎日やるのはきついが、郷は、好きな納豆を食べる時、必ず200回かき混ぜるという。おいしくなるそうだ。これならできるな。

   ワインが好きだったが、7、8年前にスパッとやめたそうだ。これは無理だな。郷は家にいてもパジャマでいることはせずに、必ず着替える。常に誰かの目を感じ、自分を律するべきだというのだ。これは少しなら。

   いいことがあった時、自分にご褒美を与えるそうだ。ある時はシャンパンゴールドのフェラーリ375MMだったり、葉山に別荘を買ったりしたそうだ。俺ができるのはすき家の牛丼の上を食べることだな。ミスターストイック・郷は、子どもを芸能界には入れないといい切る。なぜなら、人一倍の努力が必要だが、それ以上に大切なのはツキだからだという。芸能界だけではない。努力だけではどうにもならないことがたしかにある。ツキか......。競馬でもこのところとんとツキがないからな。(文中敬称略)

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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