会津磐梯で生まれ育ち、東京の短大に進学した笛吹新(池脇千鶴)は、大手デパート「大東百貨店」のアパレル店員として働いていたが、その後、社内で『姥捨て』と揶揄される関連会社「大東百貨店サービス」第一物流センターに出向させられ、『男なし、夢なし、プライドもなし』の負け組の生活を送っていた。
その新が40歳の誕生日、勤め帰りにたまたま迷い込んだ路地裏にある超高齢熟女バー「OLD JACK&ROSE」で、くじらママこと久慈きら子(草笛光子)やエリーこと花富屋敷衿子(中田喜子)、ナマコこと七子(久本雅美)、ひなぎくこと菊子(草村礼子)らとともに、最年少ホステス『アララ』として働き始めた。
それから数カ月がたち、新は「自分らしく生きたい」と、会社を辞めて「OLD JACK&ROSE」での仕事一本に絞る決意をした。会社に退職届を提出した新は、元婚約者で上司・前園真琴(山崎樹範)から「社宅、どうしますか?」と聞かれ、会社を辞めたら社宅を出なければならないことに初めて気づいた。会社を辞めるという選択の重さを改めて思い知る新だったが、その住居問題は、店のマスター・蛇ノ目幸吉(品川徹)のある提案により、思わぬ形で解決した。
恋の相手・石動に「捨てられた」と気が気ではなかったが...
一方、物流センターの先輩社員・浜田スミレ(江口のりこ)もまた、人生の大きな転機を迎えていた。正月休みを「OLD JACK&ROSE」の常連客・石動良一(水澤紳吾)と過ごし、浮かれモードが続いていたスミレだったが、その夜、スミレはどんよりした表情で店に現れた。聞けば、石動と連絡が取れないという。幼いころ母親に捨てられ、児童養護施設で育ったスミレにとって、これが生まれて初めての恋だけに、石動に捨てられたのではないかと気が気ではないのだ。
ところが、その後、石動が突然スミレの前に現れ、ひざまずいて「結婚しましょう」と指輪を差し出した。ハッピーエンドかと思われたが、今度はスミレが「私が結婚なんて、どうせ無理」と言って自ら幸せに背を向けるような態度を見せる。「そういうところ、よくないと思うよ」と遠慮がちに注意する新に、スミレは「あなたみたいに幸せな家庭に育った人間に、私の気持ちは分からない」と言い放った。
だが、そんなスミレを、幾多の悲しい経験をしてきたくじらママが優しく抱きしめ、「あなた、幸せになるのが怖いのね」と慰めると...。(よる11時40分放送)
寒山