女性差別発言で批判を浴びた東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長がきのう11日(2021年2月)、辞意を固め、後継に川淵三郎・元サッカーJリーグチェアマン(84)を事実上指名した。川淵氏の方も「森さんに相談役の形で残ってほしい」と、なお協力を要請。濃厚な人間関係に頼りきった交代劇が展開された。
川淵氏はきのう、森氏のもとに出かけ、2人で1時間近く話し合った。後継を引き受ける意向を表明し「森さんの政治力を生かせるような立ち位置で、僕の相談役という形で残ってもらうつもりでいる」「森さんはいなくなったらこまる人。存在は大きい」と語った。森氏も「相談にのって努力したい」と応じたという。
スポーツライターの小林信也氏は「役職を作る作らないとは別の、川淵氏の気持ちだろう」と評するが、街の人からは「結局、森さんの意見が残っちゃう感じです」(40代女性)、「森さんはきれいさっぱり抜ければいいのと違いますか」(20代男性)といった引退論が出る。
政治ジャーナリストの田﨑史郎氏は「森さんが後継者を示した形。辞めていく人が決めることには組織委員会や自民党内に反発もある。いろんな人の名前が出て『じゃあ川淵さん』となったのではなく、森さんから話がスタートした」と、まず森ありきを指摘。都庁でオリンピック招致課長だった鈴木知幸さんは「森さんがつぎに何をやるか、それが危険を生む。相談役で後継会長と二人三脚では、また支持が下がる。森さんは組織委員会から去るべきだ」と批判した。
スタジオからも異論噴出
吉永みち子(エッセイスト)「この交代劇は電撃的でもなんでもない。森さんからの禅譲が海外でどう映るかを考えないといけません」
玉川徹(テレビ朝日コメンテーター)「古い時代の発想だな。女性の選択肢はなかったのか」
司会の羽鳥慎一「世界的に見ると、森さんが決めたという印象が残ります。そうした選択に問題はないかが、これからの焦点です」
この交代劇には違和感が消えない。理事会で議論して決めるのが筋なのに、単なるお飾りなのか。理事一人一人の見識が問われる。