第27世観山流宗家にして人間国宝・観山寿三郎(西田敏行)が、2年前の脳梗塞による下半身麻痺のリハビリ中に倒れた。「寿三郎危篤」の報を受けた長男・寿一(長瀬智也)は、20年ぶりに東京・下町にある観山家に戻ってきた。
寿一は20年前、能楽の宗家を継ぐことに反発して家を飛び出した。現在は「ブリザード寿」というリングネームで弱小プロレス団体「さんたまプロレス」に所属するプロレスラーだった。
寿三郎の容体は幸いにも回復し、退院した寿三郎は寿一ら家族に、残りの人生で実行したいことを書き綴ったエンディングノートを見せた。ノートをめくっていた寿一は、とあるページの片隅に「家族旅行」と書かれ、二重線で消してあるのを見つけた。
そのまま健康を取り戻すかに見えた寿三郎だったが、今度は認知症を発症していることが分かり、「要介護1」と認定された。週に5日間通ってくる介護ヘルパー・志田さくら(戸田恵梨香)だけでは、十分な介護はできない。そこで寿一は、寿三郎の介護を手伝い、さらにはプロレスから引退し、第28世として観山流宗家を継ぐ決心をしたのだった。
その後、さくらの献身的な介護を受け、寿一に能の稽古をつけているのが功を奏したのか、寿三郎の認知症は要介護状態区分で二番に軽い「要支援2」にまで回復した。
寿三郎が40年間隠してきた重大な秘密を告白し一家は大混乱に
寿一は、寿三郎を家族旅行に連れて行く資金を貯めるために、そして深刻な経営危機に陥っている「さんたまプロレス」を救うために、能の動きをパフォーマンスに取り入れた謎の覆面レスラー「スーパー世阿弥マシン」としてプロレス活動を再開し、大人気となった。
そんなある日、寿三郎のエンディングノートを眺めていた寿一は、首をかしげてしまった。実行したい項目の1つに『寿限無のおとしまえ』とあったのだ。寿限無とは、子供のころに寿三郎に弟子入りした芸養子・観山寿限無(桐谷健太)のことだ。その意味を当の寿限無に聞いてもハッキリとせず、寿三郎は稽古中の寿限無を「育ちの悪さが脚に出てるんだよ」と怒鳴りつけるなど、ツラく当たるようになった。
その裏には実は、寿三郎が40年間隠し通してきた重大な秘密があった。寿三郎の衝撃の告白で観山家は大混乱に陥り、長女・舞(江口のりこ)は「顔も見たくないわ、このくそじじいっ!」と罵声を浴びせる事態に。寿三郎は『寿限無の落とし前』を、一体どうつけるつもりなのか?
一方、次男で弁護士・観山踊介(永山絢斗)は、さくらの昔の写真を新たに入手していた。さくらは寿三郎と出会う前に、3人の余命幾ばくもない老人の介護を担当し、それぞれから数千万円単位の遺産を受け取ったことが判明している。踊介は新たな写真をもとに、やはり遺産狙いの『後妻業の女』ではないかと、さくらに改めて疑いの目を向ける。
そんな中、外国人や子供たちに能を知ってもらう毎年恒例のイベントが近づいてきた。寿限無の発案で、舞の1人息子・大州(道枝駿佑)と、稽古を始めたばかりの寿一の1人息子・秀生(羽村仁成)による公演を行う運びとなった。だが、「筋がいい」と寿三郎に褒められる秀生と比較される大州は、稽古にたびたび遅刻するなど反抗的な態度をエスカレートさせる。
寿一はそんな大州に昔の自分を重ね、「お前みたいなヤツは貴重だ」と声をかける。その言葉を聞いた大州は......。(よる10時放送)
寒山