「すき家」の牛丼と紅生姜の相性は絶品
ところで、私は紅生姜が好きだ。なかでも「すき家」の牛丼と紅生姜の相性は絶品である。
並盛牛丼に紅生姜を山盛りのせて食う。紅生姜で牛肉を包み口に放り込む。口のなかで甘いタレと生姜の辛みと苦みが交じり合う。至福の時である。
カップにたっぷり入った紅生姜の3分の1は食べてしまう。「すき家」は持ち帰りの時も、小袋に入った紅生姜をいくつとっても何もいわない。以前テレビで見たが、他の牛丼屋は3つまでとか制限があるようだ。
週朝で、食について書かせたら"食魔"谷崎潤一郎を超えると、私が勝手に思っている東海林さだおが「あれも食いたいこれも食いたい」で紅生姜について論じている。
東海林は、鰻丼ではなく敢えて牛丼を選んだ紅生姜の"義侠心"が好きだという。牛丼には紅生姜がぴったり合うが、「世の中にとてつもなくおいしい紅生姜というのはありません。断言できます」。ここは私と違うが、たしかに絶品の紅生姜というのは聞かない。
「紅生姜には上昇志向がない。向上心も持たない。努力志向もない」が、そういうところが好きだという。お好み焼き、タコ焼き、焼きそばと、「どれもこれも一流企業とはいい難い中小の会社ばかり。流れ着いたところで生きていく」。行雲流水、こういう紅生姜の生き方こそが、コロナ禍で求められているのではないかと大論陣を張っている。お暇だったらご一読を。(文中敬称略)