田村憲久厚生労働大臣は2月3日(2021年)、新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」がアンドロイド端末で9月末から機能せず、接触通知が届かない状態になっていたことを報告し、「本当に申し訳ないことで心からおわび申し上げる」と謝罪した。アンドロイド端末での登録者は全体の約3割に当たる約770万人。利用者からの指摘で判明したという。厚労省は2月中旬までに不具合の解消を目指しているという。
そんななか、2月5日の国会で特別措置法と感染症法の改正案が成立した。これにより、入院を拒否したり逃亡したりした場合には50万円以下、虚偽申告には30万円以下、時短要請を拒否した事業者には30万円以下の罰則が科せられることになる。
5日の内閣委員会功労委員会審査会で社民党の福島瑞穂党首は「何が過料の対象になるかわからない。国会議員がイタリアンのお店に行って粘って夜9時までいると、客は処罰されないが、店はこの法律が成立すれば過料の対象になるということか」と質問。これに内閣審議官は「この場合時短要請には応じていただいているので過料対象にはならない」と説明。福島党首はさらに「全部居座っているからと説明されたら対策にならない」と追及すると西村康稔経済再生担当大臣は「どういう場合が正当な理由にあたるかについてはしっかりとできるだけわかりやすく示したい」とした。
さらに福島党首は「この人は入院拒否だと判断するのは誰か?」と質問すると、田村厚労大臣は「われわれが基本的な考えを示し、都道府県や保健所が行う」と答えた。改正法は2月13日に施行される。
この改正法案について都内のお好み焼き店は「飲食店だけなのかという気持ちが強い。むしろ、飲食店でのおしゃべりはダメとかのルールを設けてくれたほうがいい」、やきトン店は「罰則より補償のことを一番に検討していただきたい」と訴えた。
COCOA管理者は放置していた
経営コンサルタントの坂口孝則は接触確認アプリの不具合について「このシステムの管理者はデータでゼロが続くのを見て、気付いていたと思う。これはバカじゃなければ気付くこと。気付いたままズルズル3か月以上放っておいた。日本型社会ではありがちなこと」と批判し、キャスターの加藤浩次は「これまでずっと番組でCOCOAを勧めてきた。謝りたい」と謝罪した。
特措法と感染症法について日本感染症学会指導医の水野泰孝氏は「福島瑞穂党首が指摘した通り、拒否の基準や線引きがわからない。時短要請についても店側に過料があり客にはないというあたりに不公平感がある。また過料があることで検査をしない人や、陽性でも黙っている人が出てくる可能性がある。また、虚偽申告についてもプライバシーにかかわるので、末端の職員が判断するのは難しい」と指摘。