冒頭に「このドラマの登場人物は誰がなんと言おうと小学生です ご理解ください」という「おことわり」が出てくる。そう、このドラマはおとなたちが小学三年生を真面目に演じているのだ。
主演は杉野遥亮。今年のお正月ドラマ「教場Ⅱ」(フジテレビ)でも印象に残る演技で注目された。185㎝という高身長は武器、モデルもしているだけあって、立ち姿が絵になる。ネクストブレイク俳優と言われて久しいが、ようやく杉野の時代がきた!?
そんな杉野が演じる直ちゃんの仲間には、きんべ(渡邊圭祐)、てつちん(前原滉)、山ちょ(竹原ピストル)がいる。ほかにも同級生のタケモン(平埜生成)や、ジュンヤ(やついいちろう)などなど。
子供の無邪気さと残酷さがうまく描かれて...
駄菓子屋に、広場に、秘密基地。ちょっとした風景や、言動がとにかく懐かしい。「てぶくろを反対から言ってみて」「ろくぶて」「バンバンバンバンバンバン(6回叩く)」「止めろよ~」「6回ぶてっていっただろう」というやりとりや、廃屋のなかに秘密基地を作ったり、仲間内だけで通じる合言葉を決めたり。誰もが一度はやったことがある子ども時代の懐かしエピソードが満載だ。
2月5日の放送では、両親が離婚して名字が変わり、凹む同級生に、同じ経験をしている子が寄り添い、慰める話もあった。名字が変わったことで、これまで仲の良かった友だちとの関係がぎくしゃく、その子が「名字が変わったのは、親がスパイで組織に追われてるから」などというデマを言いふらし、それを信じる子もいて、と、子どもの無邪気さと残酷さがうまく描かれていた。
この日は、てつちんの兄役で岡山天音も出演。同級生からは仲間はずれにされ、陰で、仲間はずれの「はずちん」などと言われる小5を見事に演じていた。
彼らの住む世界は、令和の今のようでもあり、平成、昭和のあの頃のようでもある不思議な世界だ。これまで、コントでは「8時だよ、全員集合!」の志村けんや加藤茶のようにおとなが子どもを演じることはあったが、ドラマでそれをやろうという発想が凄い。テレ東にまたしてやられた。(毎週金曜深夜0時52分~)
くろうさぎ