日本が契約しているワクチンは、米ファイザーと米モデルナ、それに英アストラゼネカの3社だが、アストラゼネカ製ワクチンについて、ドイツ当局は「65歳以上の人には十分な治験データが揃っていない」として「推奨しない」見解を示した。ただし、EUは先月(2021年1月)29日に、同社のワクチン承認を発表。高齢者の接種についても、効果は期待でき、安全性も信頼できるとしている。同社のワクチンは、日本でも1億2000万回分の供給を予定している。このほか、米製薬大手の「ジョンソン・エンド・ジョンソン」は約4万4000人を対象に治験を進め、暫定結果として66%の有効性を確認している。こちらは接種が1回で一般的な冷蔵庫(2~8℃)で保存が可能としている。
マイナス70度の管理と配送システムは大丈夫か
国内でワクチン接種の態勢準備が進められる中で、先月30日に練馬区が発表したモデルが、「先進的な取り組み」(厚労省)として注目を集めている。
約250カ所ある診療所での個別接種を中心に進め、これで足りない分を6カ所の病院や4カ所の区立施設で集団接種する、というものだ。練馬区は、高齢者は最初の6週間で2回接種が可能(ファイザー製=マイナス90℃~同60℃保管=を想定)とし、「早くて近くて安心です」と、かかりつけ医が中心の接種方法をアピールする。
最近の傾向として、福祉施設内でのクラスターが増えている。厚労省の調べでは、昨年12月のクラスター発生939件のうち、高齢者施設などは254件だったが、先月(12/29~1/25)の1022件のうちの高齢者施設などは、375件と、100件以上も増えた。こうしたなかでも、ワクチン接種体制整備が急がれる。
小倉キャスター「ただ、街のクリニックでマイナス70℃で管理しなくちゃいけないファイザー製のワクチンを、どうやって運び込んで使うか、という難しさがある」
昭和大の二木「おそらく予約制にして、何日かもつだろうから、これに留意して配布するというシステムをとることになると思うが。配送システムを構築するのは意外に大変じゃないかな、と思う」
文・栄