NHK大河ドラマ「麒麟がくる」が1月31日(2021年)最終章を迎え、いよいよ次回の最終回「本能寺の変」への怒涛の展開に突入した。帰蝶に暗殺をそそのかされ、家康との絆も深まり、信長の暴走も頂点に達し、光秀はブチ切れてしまった。ネット上では、「信長のパワハラがひどすぎる」「光秀がつい暗黒面に落ちた」「十兵衛様のお気持ちよくわかります!あれじゃ私でも反逆します」と共感の嵐が巻き起こっている。
高倉健の耐えに耐えて堪忍袋の緒が切れる任侠映画のよう
第43回は、もはや己の言いなりにならない正親町(おおぎまち)天皇(坂東玉三郎)の譲位を強引に進めようとする信長(染谷将太)。その責任者を命じられた光秀(長谷川博己)は、月にまで届く巨大な大木を切る不思議な夢に毎夜うなされるようになる。その木には信長が登っており、切り倒せば落ちて死んでしまう。この夢の意味は何なのか。
光秀は目の病の療治のため京にやってきた帰蝶(川口春奈)に会い、「こんなとき斎藤道三様ならどうしただろうか」と尋ねる。すると、帰蝶の口から爆弾発言が。それは「毒を盛る。信長様に」という言葉だった。さらに「信長様は父・道三と光秀、そなたが作った。それが不首尾なことをするようになったら、作ったそなたが壊すよりほかになかろう」と暗殺をそそのかすのだった。
一方、武田を攻め滅ぼしたことを祝い、信長(染谷将太)が安土城に家康(風間俊介)を招いて宴を開く。信長に暗殺されることを恐れた家康の希望で、光秀は饗応役を任されるが、祝宴の席で信長が急に「膳が違うぞ」と怒り出し、光秀を足蹴にする。滅多打ちの屈辱を味わう光秀は般若の形相で信長をにらみつける......という展開だった。
ネット上ではこんな声があふれた。
「後半のBGMと雰囲気、悲劇に向かって追い詰められていく感じが、スターウォーズ・エピソード3とそっくりに重なって、ちょっと不思議な感じだったなー」
「光秀、信長、帰蝶すべてが新しく斬新だが、見事にはまった俳優さんたち。今回はかつての高倉健さんの耐えに耐えて堪忍袋の緒が切れる任侠映画のように光秀がついに切れる白熱の回でした。川口春奈さんも美しい分、底の深い怖さも最高の美。染谷さんも悪魔の化身、サイコパスから天下をとり、我を見失った狂気の信長を演じて何もかもがワクワク」
出しゃばり森蘭丸への「光秀チョップ」にスカッとした
「宴の席で滅多打ちの屈辱を味わう光秀。そこに毎晩のように見る悪夢がオーバーラップし、信長を睨む光秀の形相は尋常でない凄みを感じ、身震いしました。運命の最終回、今からテンション上げ上げです。我が敵は織田信長!」
「最後のでしゃばり森蘭丸への光秀チョップにスカッとした。自己反省とまわりに翻弄され、完全に壊れたなと思いました。宴の席での信長の仕打ちでスイッチオンですね」
「帰蝶の『毒を盛る。信長様に』という発言は、本当に爆弾発言ですよね。さすがに斎藤道山の娘です。帰蝶が背中を押し、家康と意気投合、それに嫉妬し孤独感を深める信長。話は面白いし各俳優の演技も皆良かった。本能寺に向けてこれ以上ない盛り上げ方だと思う」
「怨恨&ノイローゼ。そんな生半可な事ではありません。ラストシーンの光秀の、あの表情。『大きな国を作れ』は信長にも、光秀にも果たせなかったけど、いずれ築かれる大きな国に信長を生かしてたまるか!という考えが巡っただろうし、たとえ光秀自身がその大きな国にいなくとも、後世に卑怯者と貶められようとも、『我が敵は織田信長と申す』に至ったのでしょう」
帰蝶と光秀の「対決」が切なく胸キュンとなった
川口春奈の帰蝶に胸キュンになった人が多かった。
「今日は帰蝶様が主役でしたね。せつなく美しい演技でした。ラス前の光秀との密談でした。『そんな父が大嫌いだった』。でも...。夫である信長が、光秀に殺されたとしても『やむなし』と覚悟し、これが、道三の娘であった運命なのだと、少し涙ぐんだ帰蝶さんは、本当に美しかった。いよいよ本能寺の変。信長と光秀。どんな「切なさ」が待っているのだろう?」
「光秀と帰蝶の『対決』とも呼びたいほどの対峙の場、見事だった。『父、道三なら、毒を盛る』と言い切った帰蝶に、『その御父上の考えを、帰蝶様はどう思われますか?』と尋ねる光秀。それに対し『そのように命じる父上が大嫌いでした』と返す帰蝶。息詰まる圧巻のシーンだ。たとえ史実とは違うにせよ、この二人の会話として、何か納得させられるものがある。最後の家康饗応の場も、凄まじい迫力。大河の大詰めにふさわしい盛り上がりに酔わされた」
光秀は家康に「麒麟」を感じて毒殺から守ったのか?
光秀と家康の関係がますます深まったことで最終回への期待も高まっている。
「家康の接待の席での一件は、信長が家康を毒殺しようとしたのに光秀が邪魔をしたことに対して腹を立てた...と見えた。信長が光秀に宴の席に来なくてもよいと言っていたことからも。光秀はそれを察し、家康を守る為に...。これって実は凄い事で、場合によっては家康毒殺。それを止めたのが光秀で、しかもその光秀が信長を討つっていう...。つまり、光秀は家康に『麒麟』を感じたのか?という事になる。事実そうなるのだけどね」
「本能寺の変に向かう明智兵のなかに、明智光秀が西国に向かわないことに、極秘命令で徳川殿を討つのだろうと噂していた兵も居たという説を見たことがある。麒麟を選ぶ選択肢が刻一刻と迫っていたのである...のかもしれない」
さて、今後の展開だが。
「伏線があちこちに散りばめられすぎて上手く回収できるのか不安になってきたが、ここへきての家康の関わり方からして、信長が光秀に、家康を殺せと命じるのかな。家康に大事な妻子を殺させたように、今度は光秀の忠誠を試す意味で。それに対し光秀が決起し、我が敵は(家康ではなく)信長だ、となる展開のような気がする」
「国盗り物語で高橋英樹信長と近藤正臣光秀にこの上ない面白さを感じたが、以来光秀にスポットを当てた番組は、何十年もなかった。50年大河を観続けた中で、光秀をここまで掘り下げた作品に改めて感謝。何よりもオープニングの中でひときわ印象的なのが、多くの貧しそうな民が無表情でカメラを見ているシーンと、その後に(その民のため?)桔梗の旗を翻し、背を向けて進軍する明智軍。心からカッコいいと思う。いったい民を救う麒麟は誰なのか。最終回で明かしてほしい」
「生き延びる説を願っていたが...今日の光る樹を切り倒そうとしている姿を見たら、信長と共に散っていくことを願っているような...。光秀が討ち取られるまでが気になる。家康の腹心の天海になった説を採用するか興味があるな」
「最終回もやはりあの太夫は『どこでもドア』を使い光秀の前に現れるのか?太夫たちに助けられて光秀ちゃんは家康の顧問の僧、天海ちゃんになるんじゃないかな?」
「最終回。観るのが怖いです。そのくらい感情移入しています。伝説のように明智光秀がどこかで生きている...という最終回にしてほしいと願わずにはいられません」
(テレビウォッチ編集部)