皆さん、スタジオジブリは勿論ご存知ですね。
「千と千尋の神隠し」他の作品でも有名なアニメ制作会社です。
そのジブリの代表取締役プロデューサーの鈴木敏夫さんとは、私が2012年に日本テレビの常務でコンテンツ事業局の担当になったときにお付き合いが始まりました。
スタジオジブリの作品の特長は、制作費をかけてもペイ(利益が出る)こと。世界に通用するレベルであること。技術の裏付けがあること。ハートがあることです。
この4つの特長を守るのが鈴木さんの役目です。
私も、日本テレビの映画事業部の奥田誠治君と一緒に何度か、恵比寿のご自宅にお邪魔したことがありますが、そこに膨大な映画関連資料を保管する倉庫がありました。奥田くんと私は、その多彩で大量の資料に驚きながら、時間が経つのを忘れて見入ったものでした。
高畑勲さんの「かぐや姫の物語」、製作のエピソード
三鷹にあるジブリの本社にお邪魔した際、そこに当時ドワンゴの川上量生社長(現顧問でKADOKAWAの取締役)のデスクがあり、鈴木さんが「川上さんが映画プロデューサーの修業にきているのです」と言っていました。私はそれを聞いて驚きました。ドワンゴの社長がジブリのプロデューサーに、チャレンジしているからです。
前回お話しした日本テレビ元会長の氏家斉一郎さんも、高畑勲さんの作品を愛好し「高畑さんの新作を見たい。大きな赤字を生んでも構わない。金はすべて俺が出す。俺の死に土産だ」と言って「かぐや姫の物語」の企画がスタートしました。プロデューサーの鈴木さんは、予算やスケジュールを危ぶみ、「氏家さんに製作をやってもらう」という条件をつけました。氏家さんは、作品の完成を見ることなく世を去りましたが、その関わり故に、ポスターやクレジットに「製作」として、名が記されることになりました。
鈴木さんは、私が尊敬するプロデューサーです。