きょう29日(2021年1月)の「プレミアムトーク」は、トータス松本さんがゲストだった。
連続テレビ小説「おちょやん」で、主人公・千代の父、テルヲを演じるトータスさん。妻・サエを病気で亡くした後、幼い子供二人と暮らしているが、家の仕事は全部千代に任せ、酒を飲んではぐうたら過ごしている。
テルヲが連れてきた「新しいお母ちゃん」栗子に、千代を奉公に出してしまおうと言われるがままに決断。千代と別れて8年後、奉公先の道頓堀を突然訪ねてきたと思ったら、借金のカタとして千代に身売りさせようとする...などなどの非道ぶりで、視聴者からは「朝ドラ史上最低の父」とまで言われている。
博多大吉キャスター「テルヲ役が来た時、どう思われたんですか」
トータスさん「1週目の台本は千代がまだ子供なので、ちょけた親父というか、子供が一生懸命家を何とかしようとしてるのに全然取り合わなくて、ふざけてばっかりっていう。そういうテンションだったから、まだそこまでひどいっていう感じではなかったんですよ。でも最後に行くに従って、ええ~?っていう。どういう気持ちで言えばいいのかわからないっていう言葉がちらほら出てきだして、そこから結構悩みましたね。監督に相談したりして何とか乗り切ってました」
悩むトータスを救った監督の言葉「解決策を何一つ持ってないのがテルヲだ」
「なかなかテルヲになれなかった」と振り返るトータスさんだが、演じる本人としては、愛すべき部分もあると考えているそうだ。
トータスさん「テルヲってひどくて、ダメで、だらしなくて、とんでもなくろくでなしだけど、悪い人ではないと思うんです。賢くて何もかもちゃんとしてるのに悪い人っているじゃないですか。テルヲって逆じゃないですか。めちゃくちゃやのに悪くない人やと思うんですよ。そう思うと、テルヲをやろうっていう気になる」
トータスさんが特にテルヲの気持ちを理解できたのが、新しい妻の栗子が「お母ちゃんとはまるで違う」と千代に言われ、「せやろ?せやさけ惚れたんや。似ててみい。思い出してしまうやないけ」と返したシーンだという。
トータスさん「すごいピュアな人なんやなって。このセリフにはすごく救われました。ピュアにサエさんのことを愛し抜いて、子供も授かって、千代のこともすごい好きですからね。けど希望みたいなものを早い段階で失ったことによって、ものすごい傷付いたんやなっていう気がしたんです。ここでぐっと僕はテルヲに歩み寄りました」
監督からのアドバイスにも助けられたという。千代が奉公に行く時、サエの形見の写真を「こげなもんあったら栗ちゃん嫌やろうしな。お母ちゃん、お前が持ってたほうが喜ぶ」と渡すシーンは、「どんなテンションで言っていいか、最大の難関で、ここだけはわからんと思って」(トータスさん)。
「監督が『テルヲはノーソリューションの人なんだ。解決策を何一つ持ってない。自分が幸せやったらみんなも幸せなはずやのに、何でそうならへんのやろうっていうところでぐるぐるしてる、そういう人や』と言われて、急にテルヲがわかった気になったんですよ。そこからのちのち出てくる時も、常に解決策を持ってない変な人っていうイメージでやるようになったんです」