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国際基準に合わない日本の鶏の飼育方法

   現代が、吉川農相の収賄事件で、日本の卵は世界から「危険視されている」ことが分かったと報じている。週刊誌的な発想のいい企画である。

   卵は「価格の優等生」といわれる。値段の変動はほとんどなく、昔いわれていたように卵は1日2個以上はダメという健康上の理由も、どうやら間違いだったらしく、食卓に卵が乗らない日はほとんどないというほど、人気の食材である。

   だが、現代は、吉川貴盛元農相が、鶏卵大手のアキタフーズからカネをもらっていることがバレて、収賄罪で在宅起訴されたが、アキタの狙いの一つは、「国際基準に合わない日本の鶏の飼育方法を存続できるように働きかけるため」だったというのである。

   日本の鶏の飼育は、ウインドレスという窓のない鶏舎がほとんどで、60cm×40cmの狭いところに8羽ほどが押し込められていて、運動などできるスペースはないそうだ。

   何しろ、たくさんの卵を産むように品種改良され、普通は年間20個ぐらいしか産まないのに、300個以上産卵させているという。

   カルシウムが不足し、運動不足なので鶏のほとんどが骨粗しょう症で、「世界基準から大きく遅れている」(研究者の加藤武市)

   「'60 年代には300万戸に及ぶ小さな養鶏場がありました。しかし高度経済成長とともに生産の効率化が求められ、大規模な業者による寡占化が進み、現在の飼養戸数は2000戸ほどです。

   バタリーケージを使って、数万羽を管理する飼育法はそういう過程で生まれてきたものですが、諸外国の多くでは、すでに禁止されています」(同)

   EUではバタリーケージは禁止されているし、アメリカではマクドナルドなどの食品小売業者の上位25社が、25年までにケージ飼いの卵の使用を禁止すると発表しているそうだ。

   オリンピックで供される卵も、すべてケージフリーのものだという。さらに、配合飼料は外国産の遺伝子組み換えのトウモロコシであり、長い船旅で運ばれるため、殺虫剤も大量にまかれてある。

   抗生物質の使用も大きな問題だという。それら飼料の成分は卵黄に蓄積されるそうである。大量に安く卵が食べられるようになったのはいいことだが、身体に悪影響があっては何もならない。

   政治家や官僚たちにカネを配って、鶏たちを酷使し続けるシステムを維持するのではなく、安全でおいしい卵を供給するシステムに変えるためにカネは使われるべきである。

   はからずも吉川元農相の収賄罪で明るみに出た卵生産の暗部を、このまま放置しておいていいわけはない。(文中敬称略)

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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