日本で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されてから約1年ということで、きょう28日(2021年1月)のあさイチは「後遺症」の最新情報を伝えた。
コロナ感染経験のある40代女性は、治ったとされてからも、「髪の毛がものすごく抜けるようになって、日中も触ると指の間にいっぱい髪の毛が付いている状態」「何もやる気が起きないし力も入らないし、とりあえずソファーで横になっています」と、脱毛とけん怠感に悩んでいると明かす。
後遺症については、世界各国から「脱毛」「けん怠感」「息切れなどの呼吸困難感」「うつ」など、全身のさまざまな症状が報告されている。
国内では、和歌山県がコロナに感染した163人を対象に、後遺症に関するアンケート調査を実施。46%が、嗅覚障害、けん怠感、味覚障害、呼吸困難感、頭痛、脱毛、胸の痛みなど、退院後何らかの症状があると回答した。
ウイルスの影響と感染したことへのストレスが原因?
後遺症が出る理由については研究の途中だというが、現時点でわかっていることを高知大学医学部の横山彰仁教授が解説した。
横山さん「ひとつは新型コロナウイルスによる影響です。ウイルスによるダメージが肺や血管、心臓などに残っている場合、息切れなどの症状を引き起こす可能性があります。また、ウイルスによって免疫が過剰に働いて、血管などが傷付いたことによる影響も考えられます。もうひとつが環境による影響で、ウイルスに感染してしまった、あるいは隔離で人に会えないといったストレス、ベッドに横たわって長くいることで体力が衰えたなどがさまざまな症状を引き起こしている可能性もあります」
後遺症はいずれ治るのか、それとも一生続くのか。10月(2020年)に国立国際医療研究センターが発表した研究では、コロナに感染した63人のうち、16~17%の人が発症から2か月で呼吸困難や嗅覚障害、けん怠感を訴えたが、時間とともにその割合は減っていった。
脱毛はさらに遅れて症状が出るケースが多く、それもしばらく続くがだんだん減っていく傾向にあるとわかった。
横山さん「まだこの感染症が世に出て1年ほどなので、特に感染後のことはわからないことが多いですが、多くの症状が時間の経過とともに軽快していきますし、そういう方が大多数です。ただ、症状が長時間続くこともあって、1年近く経っても残っている人もいるということを知っておく必要があります」
周囲の無理解が患者をさらに追い詰める
10月(2020年)には、あるクリニックに後遺症の専門外来が設置された。オンライン診療などを活用し、これまで全国各地700人以上の後遺症患者を診察してきた。
設置した内科医の平畑光一さん「患者で一番多いのが40代。これはかなり多くて、その次に30代、20代と続きます。急性期は重症化しないかもしれませんが、(後遺症になるリスクがあるから)いかにかからないかというところに若い方は本当に注力していただきたいと思っています」
平畑さんが特に懸念しているのが、後遺症に対する周囲の無理解だ。
平畑さん「『コロナの後遺症なんて気のせいだ』『気の持ちようだ』『そうなっているのはその人が弱いからだ』ということを言ってしまうと、相当追い込むことになる。後遺症の方々には心のケアが必要だということを念頭に置いて接していただかないといけないと思います」
博多大吉キャスター「治ったとされてから2か月後に症状が出ると、『え、まだ?』とか思わず言ってしまいそうですけど、後遺症のことを知っておくのが本当に大事で、周りの接し方も変わってきますよね」
森田洋平アナウンサー「今まさに後遺症に苦しんでいる方は、最寄りの病院やかかりつけ医を受診してほしいということです」
横山さん「どういう症状がいつからどのように続いているか。どんな時によくなるか、悪くなるか。例えば全身けん怠感が朝悪くて夕方よくなるとかです。入院中・自宅療養中に受けた治療、服用した薬の情報もあるといいと思います。こういった情報を詳しく教えていただいて、まずは他の原因がないかどうかを調べるのが重要です」