立憲民主党の小川淳也議員はきのう25日(2021年1月)の予算委員会で「補正予算に1兆円のGo To予算が入っていることは不謹慎。3月までに税金で旅行キャンペーンをやるのか。撤回して組み替えを求めたい」と訴えた。しかし菅首相は「しかるべき時期の事業再開に備えて計上する」と撤回には応じなかった。
そんな中、京都大学の西浦博教授らの研究チームが発表した「Go Toトラベル事業が感染拡大に影響した可能性がある」という研究結果が注目されている。
「羽鳥パネル」での解説によると、研究は昨年(2020年)5月1日から8月31日にかけて24県の約4000人の新型コロナ感染者を分析したもの。感染者の約20%は県をまたいで旅行したか旅行者と接触したことが分かった。また、Go To開始後の5日間と開始前の5日間を比較した結果、旅行関連の感染者発生率は1.4倍(観光目的のみに限定すると2.62倍)になっていたという。
論文は、自治体ごとに公開情報が違うことなどからGo Toを感染拡大の「原因」とは断言できないが、「少なくとも初期段階ではGo Toが感染拡大に影響を与えた可能性がある」と結論付けている。
岡田晴恵教授「ウィルスは人が動けばついていく。さらに検証を」
白鷗大学の岡田晴恵教授は結論について「ちょっと弱い。もうちょっと詰めていただきたかった」としながらも、「ウイルスというのは人が動けば一緒に動きますので、だから今、行動抑制、行動変容と言っているわけです。さらに検証して、再度もっと詳しい論文を出していただきたいです」と西浦教授の今後の研究に期待する。
長崎大学大学院の森内浩幸教授は「今あるデータの中で出されたこの結論は十分に意義のあることだと思います。結論(直接の因果関係)まで出すのは難しいが、関連性をきちんと報告して行動変容につなげていくのは重要なことです」と論文を評価した。
青木理(ジャーナリスト)「政権は『エビデンスがない』と一蹴してきたが、こういう形でデータとして出てきたのは大切なことです。安倍政権のころから、政権は色々な指摘をされると突っぱねるだけで、態度や政策を変えないことが多い。コロナに関しては柔軟に、機敏に対応していく必要があります。Go To予算についてもなぜこんなに意地を張るのか分からない」
元村有希子(毎日新聞論説委員)「補正というのは本予算で盛り込めなかったもの、緊急で対応すべきものをつけるものです。なぜ組み替えができないのか、素朴に疑問です。特措法の改正はちゃっちゃかちゃっちゃか勇んでやっていますが、まずお金を見直してから罰則の話をしてほしい」