7月23日の東京五輪開幕まであと半年を切ったが、21日付けの英国タイムズ紙は、「五輪の中止は非公式に決まっている。2032の開催を目指す」と伝えた。日本政府は火消しに追われている。一方で、松井一郎・大阪市長と吉村大阪府知事は、そろって「2024年開催」を希望する意見を表明した。
タイムズ紙は、「日本は新型コロナウイルスのために、東京五輪からの抜け道を模索している」との見出しで、以下のように報じた。
「日本政府は内々にオリンピックを中止せざるを得ないと結論付けた」「ある連立与党の幹部によると、五輪大会の開催は、もう絶望的だということで意見が一致しているという。現在の焦点は、東京が後に五輪を主催できる可能性を残す形にして、メンツを保ったまま中止を発表できる道を探し出すことにある」として、「2032年開催説」をあげる。現状では、2024年にパリ開催、2028年にロサンゼルス開催が決まっているが、日本政府はまだ開催地が決まっていない、2032年を目指すという。
24年開催のパリでも、見直しの動きが起きている?
これに対し、橋下聖子五輪担当相は「そういう報道があったことは承知しておりません」。一方で、松井大阪市長は20日、「2024年を目指して交渉すべきだと思います。24年に五輪をやって25年に大阪万博をやれば、コロナ後の成長とか経済復活の一つの目標となって、いいんじゃないか」。吉村知事も22日、「中止を避けるなら延期と言うのが現実的だと思う。2024年がいいと思います」。
スポーツライターの小林信也氏は、「2032年はまだ開催地が決まっていないので可能性は高い。パリでは、インフラなどの整備が少し遅れており、コロナ禍で五輪を見直そう、経費を削減しようという動きがすでに起きている」という。東京に譲ってもらうという動きは、国際世論が高まればできるかと」。
バッハIOC会長は22日、「7月23日の開会式に向かって気運の高まりを感じます」とした。五輪組織委の森喜朗会長は「再延期はない」としたうえで、「聖火リレーがでるかどうか、延ばすかどうかどうかで自然にわかる」とした。聖火リレーのスタートまであと59日だ。
MCの立川志らく「IOCがやるといっても、われわれはやらないんです。コロナがおさまるまでは。強い姿勢を見せればいい」
どうやら、「外堀から埋める、『延期の国際世論づくり』」に入ったか。
文・栄