新型コロナウイルスのワクチン確保が6月までにできるかどうかをめぐり、河野太郎・行政改革相(ワクチン接種担当)と坂井学・官房副長官の発言の「齟齬(そご)」が論議を呼んでいる。
河野行革相は22日の参院本会議の代表質問で、野党議員から突っ込まれた。「河野大臣は自他ともに認める『令和の壊し屋』です。しかし、大規模なワクチン接種に求められるのは、周到な事前調整とコンセンサスづくり、根回しです。河野大臣の最も苦手とされるとお見受けいたします」。防衛相時代に「イージスアショア」の配備を突然中止したことを「壊し屋」と皮肉られた。これに対し、河野氏は、「『令和の運び屋』と言われるように頑張って参ります」と切り返した。
河野氏は22日、さっそくワクチン接種のホームページとツイッターを開設。「国民に安全で有効なワクチンを一日でも早く接種できるよう全力を尽くす」と、動画で国民向けメッセージを発信した。ツイッターはすでに9万人のフォロワーがついた。一方で、政府内のゴタゴタも。
坂井官房副長官と河野氏の会見合戦、情報共有できているのか?
坂井官房副長官は21日の会見で、コロナワクチンについて「接種対象となるすべての国民に必要な数量の確保は見込んでいる」と発言。これに対し河野氏は翌日の会見で、「官房副長官の会見で『6月中に数量確保の見込み』という発言がありましたが、政府内の情報の齟齬がございました」と修正。河野氏はさらに、「どうしてそういう古い情報がいってしまったのかわからない。ペーパーが紛れ込んでいた」。ところが、酒井氏は同日午後に会見し「(前日の発言について)齟齬は生じていないのではないかと思っています」と河野氏の指摘を否定した。河野氏は同じ日の午後7時ころに改めて会見し、「6月に確保することを目指すことで、齟齬はないと。電話で確認した」と記者団に報告した。
キャスターの立川志らく「河野さんが、壊し屋の面を見せたのかな。最後は政治的なところで終わったが、ほんとはどうなのかは知りたいが」。
厚労省の描くワクチン接種スケジュールは、2月下旬から医療従事者、3月下旬から65歳以上の高齢者、4月下旬から基礎疾患のある人と60~64歳の人、5月以降が一般の人、となっている。医師や会場の確保はなお未定だが、東邦大の 小林寅喆教授は、「20万人に接種する場合は、1日2000人として2回接種する場合、医者10人と看護師30人を200日確保しなければならない。自治体が、確保できるかどうか」という。
文・栄