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トランプ去ってもトランプ主義は残る

   サム・ポトリッキオはジョージタウン大教授で、アメリカ最高の教授の一人である。

   その彼が、トランプが大統領の座を辞しても、それは今より危険な存在になると、ニューズウイーク日本版に寄稿している。

   トランプ主義は攻撃の政治だ。トランプ主義はイデオロギーや政策ではなく、感情の産物である。トランプ主義は近視眼的かつ独り善がりで、現実をなかなか受け入れない。トランプ主義はそのために、大統領退任後にむしろ勢いを増すかもしれないと見ている。

   トランプは主要SNSから締め出され、史上初めて2度目の弾劾訴追を受け、大好きなゴルフの団体は、トランプ所有のコースでは大会を開かないことにした。

   「今のトランプは、地球上で最も明らかな敗者だ。支持者たちはこのひどい屈辱をわが事のように感じ、『不公正な』扱いに怒りをますます増大させるだろう。トランプがその怒りをあおった場合、アメリカは深刻な危機に直面する」

   トランプは「殉教者」になり、支持者たちの怒りに油を注ぐというのである。

   早くも、菅と同じように、バイデンも「何もできない大統領になる」といわれている。

   分断は亀裂を深めていく。トランプがもし自分の党をつくった場合、第2党に躍り出るという。トランプは死ぬまでトランプなのである。

   さて、小室母子へのバッシングが止まらない。文春は小室佳代の「謎の人生」を追うという特集を組んでいるが、目新しい事実はない。女性誌のタイトルだけを紹介しておこう。

   「眞子さま慄く! "牛歩"な小室圭さんに美智子さまが『最終勧告』」(週刊女性)「小室圭さんほくそ笑む 緊急事態宣言で『国民への釈明は無期延期』」(女性自身)「皇后雅子さま『頑な沈黙』天皇陛下は裁可されず 小室圭さんとは一生会わない!」(女性セブン)

   タイトルを見れば内容はわかる。宮内庁が美智子上皇后は、この問題について何も発言していないと、週刊誌報道を批判しているのに、今度は雅子皇后まで出してきた。

   ここまでくると小室母子への人権侵害だと思うが、抗議もしない小室母子、抗議できない秋篠宮眞子さんをいいことに、こんな報道をいつまで続けるつもりなのか。

   桑田真澄(52)が古巣の巨人軍に戻った。肩書は「一軍投手チーフコーチ補佐」という不思議なもの。文春によれば、原の後を狙う二軍監督の阿部慎之助(41)が力を持ってきたため、原が、桑田というカードもあるぞとけん制するためだというが、桑田監督という目もあるのではないか。

   氏家斉一郎日本テレビCEO(故人)が語った言葉を思い出す。彼は、巨人の監督に江川卓を持ってきたかった。だが、桑田の借金(17億円といわれる)を巨人が肩代わりしたため、江川の巨額な借金まで肩代わりすることはできないので諦めたといった。

   桑田の巨人軍復帰を、江川はどのような思いで見ているのだろう。

   フライデーは小泉進次郎の長年のタニマチが、市の許可もないのに、横須賀の自然保護区で巨大なクルーザー用の施設を建設していると報じている。

   この会社は「湘南サニーサイド社」という。19年8月から建設を開始しているが、ここは「自然保護区の県指定天然記念物天神島・笠島及び周辺水域」になっているそうだ。それも許可申請する前に工事を開始していたというのである。

   だが、工事は依然として続けられていて、神奈川県と横須賀市は行政処分を行って、工事を中断させることができるのに、何もしていないようだ。小泉進次郎と親しいために手を出せないまま環境破壊が進んだら、小泉環境相はどう責任を取るのだろう。

   吉川貴盛元農相が鶏卵生産大手のアキタフーズから賄賂を受け取っていたため、東京地検特捜部に在宅起訴された。だが文春によれば、アキタフーズの秋田社長は、現役の官僚たちとも頻繁に会っていたという。

   19年9月18日には、帝国ホテルの「なだ万」で、吉川ら以外に、水田生産局局長、渡邊畜産部長などがいて、手土産をもらってもいたというのである。利害関係者の接待を受けていれば国家公務員倫理法違反になる。呆れたものだ。

   最後にペットのお話。私はいまだにペットロスが治らない。柴とラブの雑種で「モエ」という。家中が彼女の写真でいっぱいである。

   私はカミさんに、モエに似た犬を飼おうかと話をするが、2人とも70歳オーバーでは、遺された犬が可哀想だという話になってしまう。

   だが、サン毎によると、東京大田区にあるSPAという動物愛護団体なら、高齢者でも犬が飼えるというのである。

   その代わり、獣医師や看護師、トレーナーという専門家がアドバイザリースタッフとして参加し、譲渡後のケアを万全にしているという。

   専用アプリを使って譲渡可能なペットの情報を随時発信しているほか、店舗でも実際にペットを見て、相談に乗ってくれるそうだ。

   念願かなって、私の場合、犬が飼えたとして、こちらが先に逝ってしまったら、一律3万円で引き取ってくれる。

   その子はSPAの獣医師が健康状態などを診て、新しい譲渡先を探すのだ。

   だが、飼い主が亡くなっても、ペットが生涯暮らせるように、信託制度もある。

   「ペット信託では、飼い主が亡くなった後の死亡保険金や財産をSPAに預け、遺されたペットのために利用する仕組みだ」(サン毎)

   また、老犬や老猫のためのホームもあるそうだ。

   ヘミングウェイではないが、犬は老人の友だ。犬がいれば、毎日散歩もできる。よーしと思ったが、犬のために用意してやれるカネがない。貧乏老人家庭では、犬が可哀想だしな。(文中敬称略)

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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