「漢字も計算も雑念」ピアニスト・清塚信也を育てた母の衝撃の教育方針... 学校よりピアノ優先、修学旅行も行けず

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「あ、そうだ」と思い立ちモスクワへ「群がってくる大人から逃げたかったのもある」

   モスクワ音楽院には、言葉も勉強せず、「あ、そうだ」と思い立って留学したという。

   清塚さん「初めて一人暮らししたんです。それまではずっと母の監視のもと、囚人のような生活を強いられていた。コンクールで割といい成績だったので、やっぱりエリートというか、次はこのコンクール、次はこのコンクールみたいなルートが決まってきて、それに大人の方々も群がってくるというか、そういうのから逃げたかったみたいなところもあったんです。純粋に音楽を好きかどうかもわかんなかった状態で、アイデンティティがそこになかった」

   寒く、暗いモスクワで一人暮らしをするうち、クラシック以外の表現もやりたいという思いが固まっていったという。

   清塚さん「自分のことを省みるというか、いろんなことを考えるようになって、1回は練習なんか全部やめて遊んじゃったんですけど、すぐそれも空しさを感じて、やっぱり音楽がやりたいと思った。クラシックだけじゃなくて自分の音楽がやりたいし、何よりも孤独だった。先行きも不安じゃないですか。音楽家ってどうすれば音楽家になれるかわかんないし、そういう不安を和らげてくれるのがピアノの音色だったので、そういう思いをしている人にも今後自分の音楽が役立ってくれたらこれ以上ないなという思いはこの時に出てきました」

文   ピコ花子
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