マスクをめぐるトラブルから逮捕者が出るケースが相次いでいる。
1人は飛行機内でマスクを着けるように注意した客室乗務員の腕をねじ上げ、ケガをさせた疑い。もう1人は「鼻出しマスク」で大学入学共通テストを受けていた49歳の男で、不正を告げるとトイレに3時間以上立てこもったため、建造物不退去の疑いで現行犯逮捕された。
一方、実際に街中を見てみると、鼻を出した状態でマスクを着用している人は多く、鼻出しの状態の客の入店を断っている店もある。
東京歯科大学市川総合病院の寺嶋毅教授は「マスクから鼻が出ていると飛沫を吸い込まないという効果はほぼゼロになります。また、鼻の中にもウイルスはいるので、例えば、くしゃみなどをした場合にはその勢いで鼻からも多くの飛沫が飛び出るという可能性もあります」と指摘する。
専門医「場所や状況、感染リスクによって使い分けを」
洗って何度も使えるウレタンマスクをめぐるトラブルも各地で起きている。
ネット上では「ウレタンマスク警察」に恫喝されたなどという報告が多数ある。例えば、ある男性は郵便局で順番待ちをしていたところ、高齢男性に「公共施設にウレタンマスクで来るな!医療従事者の苦労が分からないのか」などと激怒されたという。
確かに、スーパーコンピューター富岳のシミュレーション映像を見ると、ウレタンマスクの場合は咳をすると飛沫が前に飛ぶのに対し、不織布マスクの場合は前にはほとんど飛ばない。ウレタンマスクでは吐き出す飛沫量を50%しかカットできないのに対し、不織布マスクでは80%カットできることが分かる。
寺嶋教授は「人混みや比較的会話が多い状況では不織布の方が良く、自転車に乗ったりジョギングしたりしている時にはウレタンで十分だと思います。感染のリスクによって使い分けることが大切です」と話している。
浜田敬子(「ビジネスインサイダージャパン」統括編集長)「実際にコロナの治療に当たるお医者さんの話を聞くと、『1番やめてほしいのはマウスシールドだ』と。政治家も付けていますし、テレビ番組でも芸人さんがマウスシールドで収録しているのを見かけます。著名人がそういうものを付けることで『これでいいんだ』という誤解が広まることを危惧されていました」
昭和大学医学部の二木芳人客員教授「それは私も懸念しております。マウスシールドは楽ですが、感染防止効果も人にうつさない効果もかなり低いものです」