サラリーマンが主人公のドラマとして、リベンジ物に並ぶ人気を持つ『崖っぷちサラリーマンによるお荷物組織再生ドラマ』の系譜に連なるドラマだ。最近では、社会人ラグビーチームを舞台とした大泉洋主演「ノーサイド・ゲーム」や福山雅治主演「集団左遷!!」などが話題になった。
こちらドラマの主人公は、有明製薬とラナヘルツが合併して誕生した有明ヘルツの総務課長・青柳誠一(井ノ原快彦)。ある日突然、取締役・脇坂英一(西村まさ彦)から「キャリア創造支援室」への異動を命じられる。社内で『リストラ待合室』といわれる部署だ。
そこで与えられたミッションは、社長・有明清治郎(岩松了)の娘・有明沙良(小林美奈)がプリンシパル(最高位ダンサー)を務め、社として協賛している「敷島バレエ団」の再建だ。その第1関門は、2カ月後の年明けに開かれる公演「白鳥の湖」全5回の会場をすべて満杯にすること。「バレエ団(=カンパニー)を再建できなければリストラ」という運命が待っている。
妻子も家出し「このままアナタといると、腐っていく」
「私は今まで、言われた仕事はキッチリとこなしてきたつもりです。20年間ずっと会社に貢献してきた。なのに、どうして?」と恨み言を言う青柳に、脇坂は「キミはずっと言われたことしかやってこなかった。それでは今の時代はダメなんだよ」と突き放す。
そんな青柳が帰宅すると、さらに追い打ちをかける事態が。妻・悦子(小西真奈美)が一人娘・佳奈(田畑志真)を連れて出て行ったのだ。
後日、署名・押印済みの離婚届を持ってきた悦子に、青柳は「俺は今まで、言われたらゴミ出しや買い出し、風呂掃除だって文句を言わずにやってきた。俺は何も悪いことはしていない」と訴えるが、悦子からは「このままあなたと暮らしていたら、私、毎日少しずつ腐っていく」と身も蓋もない言葉が返ってきてガク然とする。
脇坂とのやり取りも、悦子との会話も「耳が痛い」「身につまされる」と思う中高年も多いのではないか。昭和や平成の時代までは辛うじて通用していたサラリーマン、家庭人としての『最低限の拠りどころ』さえも全否定されてしまったのだ。