広島市が最大80万人を対象にPCR検査を実施することになった。これだけの規模のPCR検査は全国でも例がないという。対象地域は中区、西区、東区、南区の住民と就業者。広島市の人口約120万人の7割近くになる。無料で今月(2021年1月)下旬から来月(2021年2月)中に開始の予定だ。
広島県の感染者は去年(2020年)11月から急増し、12月25日には141人と最多になり、このうち広島市が県全体の3分2を占めている。
広島市の松井一実市長は「症状が出てから検査するのではなく、その前に大丈夫かどうかを知りたい」と話し、無症状で感染している人を可能な限り把握し、住民の不安解消につなげたいという。
市民に聞くと、「レジのバイトをしていて感染の不安もあるので極力受けたい」「素晴らしいことだ」「みんなやった方がいいと思うので、全域で検査してほしい」と好意的な声だ。
広島医師会の松村誠会長は「医療現場はギリギリの状態でやっている。そういった時に大規模な検査に医療関係者が動員されるが、(検査は)価値があるのでは」といっている。
専門医「費用対効果を考え、意味があるのか検討してほしい」
一方、懸念の声もある。広島市医師会の佐々木博会長は「その結果、陽性になった人を把握する保健所の機能が大変なことになる」と心配している。
ウイルス学に詳しいアメリカの国立研究機関・研究員の峰宗太郎医師は、PCR検査は大変有効としながら「偽陰性・偽陽性可能性もあり、正しく判定できるのは約70%。無差別ですべての人を対象に行う検査は効率が悪いのではないかと思っています」といっている。
日本感染症学会・指導医の水野泰孝医師「費用対効果を考えると、果たして意義があるかどうか、検討してほしい」と語っていた。
司会の加藤浩次「PCR検査が悪いのではない。やるべきところには、しっかりやるべきだが、無作為にやってお金をかける時にどれだけ効果があるのか、その疑問があるということなんですね」