"行政の徹底したスリム化"目指す菅政権
菅に対する論評で興味深かったのは、文藝春秋(2月号)の片山杜秀慶應大学教授だった。
菅にはよく「国家観がない」といわれるが、菅政権が打ち出しているデジタル化の推進、マイナンバー制度の活用、菅のブレーンの竹中平蔵がアドバルーンを上げているベーシックインカムなどに、目指していることが明確に示されているというのだ。
「一言で言えば、新自由主義にもとづく"行政の徹底したスリム化"です。この傾向が、一定のオブラートに包まれていた安倍政権の時よりも剥き出しになっています」
マイナンバーに紐づければ所得や貯蓄から健康状態まで把握できる。ベーシックインカムを導入すれば、個々に年金や保険料を計算する手間が省けるから、役人がいらなくなる。
「要するに、新自由主義的な"資本の論理"からすれば、『国民国家』自体が邪魔でしかないのです。(中略)AIやロボットを駆使して『いかに人件費を削るか』が、新自由主義の成長モデルだからです」
この論理に従えば「人権」など簡単に吹き飛び、待っているのは「デストピア」でしかない。この流れにブレーキをかける政党が必要なのだが、片山は「絶望しか感じられません」と結んでいる。