テレビ朝日コメンテーターの玉川徹の「そもそも総研」で取り上げたテーマは「そもそも老化は克服できるって本当?」。米「TIME」誌で「世界で最も影響力のある100人」「医療におけるトップ50人」に選ばれたハーバード大学医学大学院のデビッド・A・シンクレア教授に、玉川がリモートでインタビューした。
その著書「LIFESPAN~老いなき世界」(東洋経済新報社)が、全米でベストセラーとなっているシンクレア教授は、高齢マウスの視力を回復させることができたという英科学誌「ネイチャー」に掲載された論文を紹介し、「老化はリセットできる。若さを取り戻したということ」と話す。京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授が発見した4つのタンパク質のうちの3つを視神経に導入することで老化した細胞を若返らせる実験に成功したというのだ。現在はマウスではなく人間で実験中だとも。
シンクレア教授は、「老化」は「病気」ととらえるべきだと主張し、「老化が疾患なら、治療にもつながる。若い世代にとっては心疾患やアルツハイマーなどの予防にもつながる」と話した。
「老化は防げないものだと諦めていた」という玉川に、シンクレア教授は「解決できる問題になる。がん、心疾患、認知症に効果的な治療法がない中、若返らせることができればそれが可能になる。研究のゴールは人制の最後期を短くすることだ」と説明。
経済的にもメリット大きい
さらに、シンクレア教授は世界的に膨れ上がる医療費について、その多くが終末期医療に使われているとして「高齢でも遊びまわり、最後の数週間だけ弱るというなら、経済的にもメリットが大きい」と話した。実際に、英国の医学雑誌「ザ・ランセット」によると全世界の医療費は2014年に9兆2100億ドル(約976兆円)が2040年には24兆2400億ドル(約2568兆円)に達すると推計される。
シンクレア教授は「"人間が500年生きられるようにすることは可能か"ということではなく、現代医療と科学的進歩が人々の助けになるということだ」と説明した。
玉川は「シンクレア教授の話を聞いてなるほどと思ったのは、遺伝子の中に老化させるものはなく、若さを保つ遺伝子が働かなくなるということ。老化は避けられないというのではないということ」とコメント。
女優の高木美保は「終末期医療のお金が減るのはいいけど、私は長生きしても楽しくないと思うので、今のところ保留です」と言い、羽鳥慎一キャスターは「長く生きるというのではなく、死ぬまで元気というのがいい」とコメント。
玉川は「寿命まで健康というのが可能になれば、新しい社会制度や宗教・哲学が必要になってくる。いろいろ、根底から考え直していく状況になりうる」と結んだ。
斎藤ちはるアナは「そういう世の中を見たいと思う。若者の医療費負担も減り、生きやすくなるのではないか」と話した。羽鳥は「せめて長生きしたくなるような世の中になってほしい」とコメントした。