ある夜、都内の河川敷の橋の下で、墨川区役所臨時職員・鎌田弘明(永嶋柊吾)が鉄パイプで撲り殺された。翌日、現場に駆けつけた警視庁特命係警部・杉下右京(水谷豊)と巡査・冠城亘(反町隆史)は、目撃証言から犯人らしき人物が右足を引きずっていたとを知った。現場には謎の落書きも残されていた。
そんな中、杉下は中年男(岸谷五朗)が自分をつけ回していることに気づく。杉下の行きつけの小料理屋「こてまり」に現れたその男に問い質すと、男は「フリージャーナリスト 仁江浜光雄」という名刺を差し出した。そして、『数々の難事件を解決している伝説の刑事』と言われる杉下に取材させてほしいと申し込む。胡散臭さを感じた杉下は取材を断ったが、仁江浜は簡単には引き下がりそうになかった。
案の定、撲殺事件の現場に現れた仁江浜は『少年犯罪』と『正義』について、杉下を挑発するような議論をふっかける。仁江浜の本当の狙いは何なのか。
「こてまり」の女将も何者かにさらわれ監禁されてしまった
ほどなく、殺された鎌田が十数年前の中学時代、無差別に鉄パイプで人を襲った罪で少年院に入っていたことが判明する。杉下は「かつて鉄パイプで人を襲った人間が同じ凶器で殺された」との見方を示し、巡査部長・伊丹憲一(川原和久)らの捜査一課も「昔の事件の関係者による復讐」の線で捜査を続ける。
すると、かつて鎌田の暴行で大怪我を負い、人生を狂わされた被害者の一人である麻雀荘店員・瀬川利光(趙珉和)という男が捜査線上に浮かんだ。瀬川は目撃証言の人物像とも一致する。
これで事件も解決に向かうかと思われた矢先、新たな殺人事件が起き、捜査は混乱に陥る。それに追い打ちをかけるように、「こてまり」の女将・小出茉梨(森口瑤子)が何者かに誘拐され、監禁されてしまった。
一方、事件の裏に特殊詐欺事件、いわゆる振り込め詐欺グループの影もちらつき始める。
連続通り魔事件犯人の殺害、現場に残された謎の落書き、第2の殺人、小出茉梨の誘拐、蠢く特殊詐欺グループ、そして杉下につきまとう仁江浜の正体......一見関連がなさそうな事象が一本の線でつながったとき、杉下の衝撃の過去が明らかになり、杉下は決死の決断を迫られる――。(よる9時放送)
寒山