現代のトヨタの記事が面白い。21年1月1日付け人事で、豊田章男社長の「股肱の臣」といわれた執行役員の友山茂樹(62)が退任するという。
90年代半ばからトヨタのIT化を推進してきた人物だそうだが、この人事に社内は凍り付いたという。
「友山は栄転してグループ企業のデンソー社長になるという噂もあったが、実際は真逆だった。これは更迭人事。明確な理由こそわからないが、豊田社長の逆鱗に触れて『お手討ち』にあったと社内では言われている」(関連会社役員)
豊田という人は好き嫌いが激しく、気にいった幹部は徹底的に重用するが、少しでも気にいらないことがあると、経営中枢の幹部でも容赦なく「島流し」にするそうである。
今回もその悪い性分が出たのだろうが、ジャーナリスト井上久男によると、友山の後任者にも問題があるというのである。渉外と広報で副本部長を兼任する長田准(54)が昇格するそうだが、この人物、メディアにとっては「天敵」なのだという。
今年の5月、トヨタが21年3月期決算の見通しを、「営業利益が8割減の5000億円」と発表した。公表した通りにメディアが報じても、「見出しが気にいらない」と編集部に乗り込んで、居座って説教したという。
11月には、トヨタが中間決算を発表する前に日経と毎日が報じたら、両社をオンライン決算から締め出し、出入り禁止処分にした。日経社長には豊田社長から直接抗議文を送ったそうだ。
井上は、長年トヨタを取材してきたが、豊田社を除く執行役員の全員が40代50代になったことに一抹の不安を覚えるという。「なぜならば、執行役員の多くが修羅場を踏んでいないのだ。一言でいえば、彼らは『プロ人材』ではない」。新体制の10人の執行役員を表すキーワードは「転職組」「いい人」「門外漢」だという。
EV車がガソリン車に取って代わろうとしている「大変革」の時期に、社長の気分でイエスマンばかりを周りに置くというのでは、トヨタの将来も危ういかもしれない。
朝日新聞の大甘リストラ策
危ういといえば、朝日新聞も「大赤字なのにリストラ策が甘い」と文春が報じている。今年の9月の中間決算は純損益が419億円の大幅な赤字で、朝刊の部数も500万部を割り込んで、まだ下げ止まらない。
その責任を取って渡辺雅隆社長が来年4月1日付で退任すると表明した。社員の年収の1割をカットするなどやったが、力量不足は明らかだった。
その渡辺社長が最後っ屁のように打ち出したのが「希望退職」だが、これが大盤振る舞い過ぎると批判を浴びているようだ。管理職を除く45歳以上の社員が対象で、通常の退職金に加えて、年収の最大4割を退職日から60歳の誕生日月まで払うというもの。
100人以上を目指すというが、これほどの厚遇なら、優秀な人間からどんどん辞めていくのではないかと心配になるが、そこが大朝日病、殿様商売といわれる所以である。
先のトヨタの話ではないが、もし今EV車になっていたら、関越道で起きた2000台を超える自動車が立ち往生したようなとき、一体どうなっていたかと新潮が特集を組んでいる。結論は簡単だ。
もしそうだったら、より深刻な事態になっていた。そう話すのは、株式会社ピーコックブルーの瓜生洋明だ。「それに、雪国に住む人はそもそもEVを買わない」。その最大の理由はバッテリーのリスクだという。「バッテリー残量が底をつけばタイヤが動かないどころか、車内のエアコンも止まってしまいます」。当たり前のことだが、こうした基本的な問題をEVメーカーはどう解決していくのだろうか。