「ハゲタカ」シリーズで知られる真山仁の同名小説が原作の政治サスペンスドラマ。
敗色濃厚な選挙戦でも当選率99%を誇る凄腕選挙コンサルタント・聖達磨(香川照之)は、依頼者に莫大な報酬を要求し、勝利のためならどんな手段もいとわない切れ者で「当確師」と呼ばれている。
そんな聖が今回請け負ったのは、大災害時の首都機能補完都市となり、日本中の注目を集める政令指定都市・高天市長選挙。聖と旧知の仲の衆議院議員・大國克人(木場勝己)が、現職市長・鏑木次郎(高橋克実)の3選を阻止してほしいと依頼してきた。
鏑木は7年前に市長選に立候補した際、元検事という経歴を活かして当時の市長の不正を暴き、初当選した。表向きは革新的は政策を次々と打ち出し、高天市を急成長させた立役者として絶大な支持を集めるが、裏の顔があった。検察権力を背景に金や洗脳、ニセ情報など汚い手を使ってのし上がった独裁者の顔だ。
聖は7年前の市長選で、やはり大國の依頼で鏑木陣営の選挙アドバイザーを引き受けたが、鏑木の姑息なやり口に嫌気がさしてアドバイザーを辞任した経緯があった。
様々な思惑がからみ二転三転。選挙が面白くなること請け合い
7年前は鏑木を推していた大國が、今回はなぜ鏑木を叩く側に回ったのか? 聖は大國に問い質したが、大國は札束と3人の対立候補者リストを差し出すだけで、何も答えようとしない。
聖は不審に思いながらも大國の依頼を引き受け、鏑木の対抗馬として市内の保育園経営者・黒松幸子(檀れい)に白羽の矢を立てた。ホームレスへの炊き出し活動や市民合唱団の運営など地域活動に尽力している女性だ。
しかし、彼女の身辺調査の結果、鏑木の妻で高天市随一の財閥・小早川グループの長女・瑞穂(奥貫薫)と学生時代からの親友だと判明した。瑞穂との関係から考えて、黒松を市長選に擁立できる可能性は限りなくゼロに近いと思われたが......。聖は情報戦や謀略、奇襲攻撃を次々と仕掛け、大胆不敵な選挙戦を展開する。関係者の様々な思惑が絡み合い、まさかの裏切りもあり、物語は二転三転して目が離せない。
原作者の真山は、あるインタビューで「多くの有権者が『選挙はつまらないし、難しいし、何回やっても変わらない』と思っています。(中略)選挙の勝敗が決まる背景にこんな動きがあるのだという、社会の裏側の仕組みを知らないと、自分たちの意思をどうやって選挙結果に反映させればいいのかも分かりません」「自分たちが興味の持てる政治にするためには今の選挙の仕組みを知ったうえで、傾向と対策を考える。そのきっかけになればいいと思います」と語っていた。
このドラマを見れば、来年の衆議院議員選挙や東京都議会議員選挙をはじめとする選挙が面白くなること請け合いだ。(よる9時放送)
寒山