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三浦春馬の自死の謎

   三浦春馬も両誌が取り上げている。まだ観てはいないが、三浦の遺作映画『天外者(てんがらもん)』はなかなか好評のようである。

   三浦が亡くなって5カ月が経つが、彼の死を惜しむ声がやまない。それは、なぜ彼が自死したのかという理由がいまだにわからないからだろう。

   芸能界で成功するにつれ、息子に金銭を無心する母親や義父に対して、「結局はお金。両親には二度と会いたくない」と、亡くなる3年前に、親友にこぼしていたと伝えられる。

   実母の戸籍から抜けて、幼い頃に生き別れた実父の姓の「三浦」にしたが、その実父も、入退院を繰り返し、三浦が金銭の支援を相談され、「結局はお金なんだ」と追い込まれていったと文春は報じている。

   何やら、息子の三浦を死に追いやった元凶ではないかとまで報じられている実母に、文春がインタビューしているのはさすがである。

   彼女は、「うら寂しさが漂う茨城県内の小さな町。スナックやコンビニが連なる飲み屋街の一角で、その女性はひっそりと暮らしている」という。

   一部の報道では、たしか、三浦春馬が母親のためにマンションを購入してあげたというのがあったが、どうやらそうではないようだ。

   三浦の遺産は、彼の所属していたアミューズが、三浦に関する同社のすべての利益は「三浦春馬支援」を設立して、慈善事業に寄付するという。それ以外の彼のマンションやBMWなどの遺産は、実母と実父の間で、弁護士を立てて話し合いをしているそうだ。

   実母は、自分も仕事を続けていて、息子の資産管理会社の役員として報酬を得たり、クルマを買って貰ったりしたことはあるが、「生活の基盤を完全に息子頼みにするようなことはありませんでした」と、金をせびっていたという報道を否定した。

   さらに実母は、三浦の遺品は自分の所にあるという。

   「自宅で毎日、春馬が生前使っていた財布、携帯電話、手帳を写真と共に、遺骨を供えて手を合わせています。とはいえ、『供養したい』という気持ちと『戻ってきて欲しい』という気持ちがない交ぜで......。(中略)息子の遺物は今後、一切処分するつもりはありません。後生大事に保管していくつもりです」

   実母も、息子がなぜ死を選んでしまったのか、自分には分からない不信感をもたれてしまったのか、三浦春馬という人間の心の奥を知ろうと葛藤しているのかもしれない。(文中一部敬称略)

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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