テレビ朝日の「事情聴取」フライング報道に激怒した安倍前首相
安倍前首相が東京地検特捜部に事情聴取されていた。これをいち早く報じたのはテレビ朝日だったが、聴取前だったため誤報となってしまった。
安倍はこの報道に怒り、テレビ朝日の記者に向かって、「バカじゃないのか! あんな誤報を出したらさ、(テレ朝は)局長が責任を取らないとダメじゃないのか」と、凄まじい勢いで迫ったと、文春が報じている。
実際に聴取されたのは21日だったから、その時点では誤報だっただけだが、安倍が怒り狂ったのは、聴取が迫り相当ピリピリしていたからだろう。
政治資金規正法の不記載の罪で、公設第一秘書を略式起訴して、安倍は不起訴となるようだが、安倍がこのことを知らなかったはずはない。起訴はされずとも、政治責任は重大であり、議員辞職を求める声は安倍の地元からも聞こえてくる。
朝日新聞の調べによると、国会で安倍は「桜を見る会」について118回も事実と異なる答弁をしていた。これでは、国会は何のためにあるのかといわれても仕方あるまい。
安倍前首相は晩節を大きく汚すことになった。晩節といえば、"無頼派"といわれた作家・伊集院静の昨今の言動も、いささか気になっている。今週の現代の連載「それがどうした」でこう書いている。
安倍前首相が「桜を見る会」疑惑で東京地検特捜部に事情聴取されるというニュースがあるが、これは首相官邸から話が出たのではないかと推測している。
そんなことをやっているから今の政治家はダメなのであるとして、
「『これほど長きに渡って、首相としての責務をきちんとした首相が戦後何人いるのか?』
こう書くと安倍の味方かという輩がいるが、
『引退した途端、批判を受けるほど、不誠実な首相であったのか、と言いたいだけの話である』」
この考えに同調できる"輩"は果たして何人いるだろう。
菅首相が自分のことを「ガースー」と口にしたと家人が怒っているので、見てみたら本当だった。この男が梶山静六の弟子だったのかと疑ったという。
「もしかして、相当にレベルの低い男ではないのか? 最初に誉めた、私の目がおかしいのか?」
伊集院は菅の総裁選出馬表明を聞いて、こう書いていた。
「会見を聞いていて、もしこの人が宰相ならば、今、目の前にある諸問題への対処、対応に漏れも、穴もないのだろうと思った。おそらく今後、日々起きる諸問題に対しても、あざやかにこなすだろう」
見る目のないのを反省しているのかと思えば、こう続ける。
「私は安倍氏の後継は、甘利明氏だと思っている。どう考えても、これほど優秀な政治家は、日本には見つからない」
私は、作家というものは石原慎太郎のような上から目線ではなく、地べたから虫の目で世の中を見るものだという「偏見」がある。多少袖すり合った作家であるだけに、この発言は哀しい。