きのう21日(2020年12月)、日本医師会や日本看護協会など9団体が合同会見し、「医療緊急事態」を宣言した。感染拡大の中、医療崩壊を食い止める鍵の一つが看護師の復職だ。看護師の免許を持ちながら、仕事についていない潜在看護師は全国で71万人いるといわれているが、日本看護協会が今年(2020年)4月からメールで呼びかけてきたが、先月中旬(2020年11月)までに復職したのは1995人だった。
そんな中、リポーターの阿部祐二が復職した2人に話を聞いた。
今年5月に復職し、愛媛・コロナ宿泊療養施設に勤める正岡さん(50)は復職した理由について「やっぱり、毎日コロナの様子をみていると、この大変な時期に何かできることをした方がいいのかなと思いました。感染のリスクはゼロではないとわかっていましたが、夫は医療関係者で快く許可してくれました」と話す。
来月(2021年1月)都内の総合病院に復職予定のゆりさん(20代)は大学卒業後に3年間看護師として勤めた後、アパレル業界に転職したが、新型コロナの感染が広がり、看護師たちが懸命に働いているのを知り、医療現場に戻ることを決意した。今は一般病棟だが、自分が入ることで専門性の高い看護師がコロナの現場に回せるのではないかと思っている。ただ一方で、風評被害がどの程度あるのかどうか心配しているという。
「業務に自信持てない」「家族が反対」「ストレスに耐えられるか」心配の声
看護師の人材派遣会社「スーパーナース」に寄せられている相談によると、復職の問題点として、技術面には「ブランクがあるため、採血や点滴の業務に自信が持てない」「医学の進歩についていけるか不安」。コロナに関しては「家族が不安を感じたり、心配をしたりして反対」「人に会いづらくなるのでストレスに耐えられるかどうか心配」といった声が出ている。
司会の加藤浩次「いまの時期、復職される方には本当に頭が下がりますよ。でも、やっぱり、復職にハードルも高いんですね」
日本感染症学会専門医の佐藤昭裕医師は「直接コロナに関係してなくても、他の業務をカバーしてくれると、非常に心強いことです。技術面はすぐ慣れると思いますが、それよりも家族や周りのことが問題ですね。看護師不足はコロナ前からありましたので、すぐに解決するのはかなり難しいと思います。勤務条件、金額だけでなく、休暇とか、教育体制とか、改めて考えるべきだと思います」と話す。