全面黄色の背景に赤で書かれた「通常の医療がほとんど停止するような医療崩壊をきたしかねない危機的な状況」の文字。新型コロナ重症患者を受け入れている京都の14病院が12月18日(2020年)に連名で出した緊急声明文だ。昨日20日時点で京都府の重症者は8名だが、これが30名に達した場合は、通常医療がほとんど停止する可能性があるという。
危機感の背景は何か。とくダネでは2つの病院院長に取材を行った。
京都岡本記念病院の高木敏貴院長は「医療機関は年末年始、外来機能を落としてしまうため、診療を行っている数少ない医療機関に患者が押し寄せると対応不可能になる」という。洛和会音羽病院の二宮清院長も「冬季ですので心筋梗塞、大動脈解離、脳出血、外傷では交通外傷が増える。コロナの重症者が発生すれば受け入れを制限せざるをえなくなる」と危機感を訴える。
全国でも同様、全国知事会で「緊急事態宣言もありうる」との声も
こうした事態は京都だけで起きているわけではない。昨日20日の全国知事会では、場合によっては緊急事態宣言再発令もありうる状況になっているのではないかという声もでた。
野党からも「地域を絞って再発令を決断すべき」という声が出ているが、加藤勝信官房長官が「緊急事態宣言を出すような状況にならないよう、強い措置を講じている」とコメントするなど政府の腰は重い。政府関係者からは「東京が1日1200人以上になったらやらないといけなくなると思うが、まだないだろう。一律で経済を止めるのは、失業率と自殺者の関係でもダメージが大きすぎる」という声が出ているという。
二木芳人(昭和大学教授)「多くの病院が人をかきあつめ、余力をつぎこんでギリギリのところにある」
キャスターの小倉智昭「年末年始はもともとやらない病院が多い。経済優先を考える人は、『医療崩壊はありえない』というが、その根拠がわからない」
金塚彩乃(弁護士)「実効再生産数など科学的話が聞こえてこないのが心配。自殺者の話も気になる。日本は増えているが、厳格なロックダウンをしていたフランスは前年度より自殺者が減っている。フランスは国の補償やケアが手厚かった」
夏野剛(実業家)「第1波から第3波まで時間があったことを活かせていない。他国では失業者をクラスタ追跡に緊急雇用したり、CAを医療従事者サポートに雇用したりしている。また、政府からのメッセージが、旅行に行っていいのか悪いのかわからない状態が問題。中国のように封じ込めをやった国の方が経済が復活している」