菅首相、世論調査の支持率低下にショック GoToトラベル停止発表の夜の会食が波紋 宮内庁長官の発言受け、週刊誌は小室母子への「人身攻撃」報道

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   今朝(12月17日)の『とくダネ!』(フジテレビ系)で小倉智昭が、菅首相がGoToトラベルを停止する発表を行った日の夜、多くの人間とマスクなしの会食を行った件に触れて、概ねこのようなことをいった。

   総理と一般人が置かれている立場は違うから、(一度に)多くの人と会ってもいいんじゃないか。3人ずつ会っていたらどれだけ時間がかかるか。ここまでいうのは気の毒だと思う。

菅首相の夜の過密スケジュール

   この言葉の裏には、2日前の夜、フジのトップが菅と食事をしていたことへの配慮があると思う。だが、たしかに菅の夜のスケジュールは過密である。

   例えば12月3日は、朝日新聞の首相動静によれば、6時41分に赤坂の「松川」で谷内正太郎前国家安全保障局長らと懇談して、7時5分には東京・東麻布の「富麗華」で飯島勲内閣官房参与らと食事している。移動の時間を考えれば、谷内と話していた時間は長くて20分か。

   12月15日は7時43分に赤坂の「VaccaRossa」で自民党の秋本真利衆院議員らと食事して、8時15分には六本木の「ステーキそらしお」でフジテレビの宮内正喜会長、遠藤龍之介社長、東京五輪・パラリンピック組織委員会の高橋治之理事と食事している。9時31分には衆院議員宿舎に帰っているから、秋本らと話していたのは30分程度で、フジの会長・社長らとは1時間程度だろう。

   いくら酒を呑まないからといっても、これではあいさつ程度しかできないのではないか。

   田中角栄は一晩一組としか会わなかったそうだ。かけもちをしては会う人に失礼だと考えていたからだが、菅にはそんな配慮はないようだ。

   問題になっている12月14日は、8時50分に東京・銀座の「銀座ひらやま」で二階俊博幹事長、林幹雄幹事長代理、ソフトバンクの王貞治、俳優の杉良太郎、政治評論家の森田実らと食事している。9時44分には衆院議員宿舎へ帰っているから、いたのは50分程度だろう。

   数をこなすだけの会食にしか見えないし、コロナに対する対策が不十分だと批判されている菅が、寸暇を惜しんで会わなければいけない人間だとは、失礼だが、思えない。

   国民もようやく菅の本性に気が付いたのだろう、NHKの世論調査で支持率が、前月比でマイナス14ポイントも落ちて42%になった。これでも落ち方が少ないと私は思うが、中でも、GoToトラベルを一時中止せよが79%、菅を支持しない理由では「実行力がない」が上位に来た。

   文春によれば、仕事師を自負する首相にとってショックだったようだ。

   西村康稔経済再生相は菅の会食について聞かれ、5人以上はいけないというエビデンスがあるわけではないという苦しいいい訳をしていたが、文春によれば、菅との間にもすきま風が吹いているようだ。

   何としてでも「GoToトラベル」を止めたくない菅は、12月13日に官邸で、加藤官房長官、田村厚労相と西村だけを集めて、GoTo緩和策をいい出したそうだが、西村は色をなして、「そんなこと、国民が許しませんよ!」と反論したそうだ。

   勝負の3週間の「敗北」が決定的になり、翌日にNHKが世論調査の結果を発表して、ついに菅首相はGoToを諦めざるを得なかった。

   何とも間抜けな響きのある「ガースー」を自称する菅首相に、多くを期待するというのが土台無理がある。菅に比べると、というのはメルケル・ドイツ首相に失礼かもしれないが、12月11日に連邦議会でした演説は、ドイツ語が分からなくても感動させられた。

   増え続ける感染者、医療崩壊が迫っていると、切々と、ときには手を振り上げ壇を叩きながらの訴えに、世界中が聞き入ったのではないか。彼女をヒトラーのようだという人間がいるが、右だろうと左だろうと、この国難を乗り越えるには多くの国民が納得し、団結しなくてはならないはずだ。

   今の菅政権には危機感も責任感もない。これが日本人にとって最大の不幸である。

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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