子どもの訴え「被害」と認められない 教育委員会の構造的課題
中学2年生の香織さん(仮名14歳)は、PTSDと診断され、3年間不登校が続いている。きっかけは、小学5年生の時。担任から頭や頬などを触られた。「自分だけやられたのか、と思ったら気持ち悪くなって」。髪の毛をもまれたりして、身の毛がよだつほど精神的に追い詰められた。担任の行為をやめさせてほしいと女性の副校長に相談したが、「話を聞くだけだった」。香織さんと母親は、校長らに実態調査を求めた。聞き取りに対し、男性教員は、「優しく注意する意味で、こめかみあたりを一度つついたことはあります」と「授業中の指導」だとした。「被害」だと認められなかった。教育委員会にも踏み込んだ調査を求めた。教委は、セクハラ行為やいじめ行為に当たらないとした。
みさとさんは当初、教育委員会にこの教員の懲戒免職を求めた。しかし聞き取りはしたが、処分はなかった。担当者は、「本人が事実を認めて、訴えと一致して初めて事実認定ができる。警察ではないので、捜査をすることはできない」。
米田NPO理事長は「第三者委員会による調査が必要だ」という。寺町東子弁護士は、学校内で対応せず、警察への通報の義務付けを提案する。「学校の中での教師によるわいせつ行為、性的虐待は『児童虐待』だと法律で定め、児童虐待防止法と同様、守秘義務を解除して通報義務を課すべき」。末富芳教授は、「学校教育法も性暴力についての規定を整備すべき」と指摘した。
国は今年度から3年間、「性犯罪・性暴力対策の強化方針」を決定、わいせつ行為を行った教員などへの厳正な処分を施策の一つとして進めている。
番組は性暴力被害の相談について、全国共通の短縮番号として「#8891」(24時間対応)を紹介した。
栄
※NHKクローズアップ現代+(2020年12 月15日放送「教員からの性暴力なくすために 最前線からの提言」)