被害者アンケート、8割が「被害」だと認識できなかった
教員から性暴力にあった149人に聞いたアンケートでは、8割近くが、被害を受けたとき「被害」だと認識できなかった、と回答した。被害だと認識できるまでには、10年20年、時間がかかるケースが少なくない。石田さんが被害ではないかと気づいたのは37歳の時だった。裁判で被害を証明するために、教員と対面し、やりとりを記録した。
「先生覚えてます?」「玄関でキスした」「玄関でしたっけ?」「そう」「先生が上になって」「はい」「キスしたり」「はい」「けっこう覚えてる?」「当り前じゃないですか」「分かるとまずいとか、あったんですか?」「当り前じゃないですか。クビです。当然、教育委員会にばれたら俺クビだから」。
教員はこの発言について、答弁書で、石田さんが「ありもしない妄想にとりつかれていると恐怖を抱き、言い分をすべて認めて場をおさめることにした」と主張した。さらに、石田さんが訴えた中学からの行為については、「大学生のころは交際していたが、それ以前にわいせつな行為などはしていない」とした。
きょう、東京高等裁判所であった二審判決は、一審に続き訴えを退けられた。中学・高校時代にわいせつ行為があったことは認定した。しかし、賠償を請求できる20年の「除斥期間」を過ぎている、とされた。「性的なことと分かることと、性暴力と分かることは別問題。分かるのは時間がかかるので、みんな言い出せないし、言いたくない。だから知られていないだけ」。