番組のカメラはこの週末(2020年12月12日~)、旭川市内の病院などをルポした。
旭川赤十字病院では、緊急性の低い手術を2週間中止すると決めた。牧野憲一院長は、「もう崩壊ですね。医療全体が空中分解してしまう」。旭川市内では、病院など9か所でクラスターが発生。旭川厚生病院では13日時点で、283人の感染を確認、吉田病院では205人、この2つの病院だけで、56人が亡くなった。西川将人市長は12日、「25日まで、不要不急の外出を控えてほしい」とJR旭川駅などで呼びかけた。
旭川空港は週末にもかかわらずほとんど人がいない。車で30分の中心街も、人影がない。年間300万人という、日本一の来場者数を誇る旭山動物園も見学者はほとんどおらず、動物たちの方が多く感じるありさまだ。サル、ヒョウ、アザラシたちも、寂しげだ。最近の来園者数は80%近く落ち込んでおり、今回の外出自粛は大打撃だ。
田村厚労相「医療崩壊は『見方』」に、医療従事者は批判
旭川医療センターでは、コロナ患者用の病床が20床あるうち17床が埋まっている(12日現在)。「看護師の数が限られているので、精神的な不安と負担がある状況だ」(看護部長)。市内では現在、10人の自衛隊の看護官が支援にあたっている。自衛隊からは大阪府にも7人の看護官らが派遣されている。自衛隊の看護官は約1000人(20代から50代の女性が多い)おり、25万人以上の自衛隊員の健康管理、全国16か所の自衛隊病院での看護を担当している。自民党内には「最後の砦として考えてほしい」との声もある。
「医療崩壊」とはどういう状態を言うのか?先週10日の参院厚生労働委員会では、「医療崩壊の危機にある自治体はどれだけあるか?」と聞かれた田村憲久厚労相は、「医療崩壊の危機という定義がどういうものなのか、難しい。『見方』ということになると思います」。これに対し、ふじみの救急病院の、鹿野晃院長は、「(国会と)現場との温度差を感じている。医療機関の現場に政府関係者が視察に出向いているところをほとんど見たことがない」と批判する。
月曜コメンテーターの橋下徹・元大阪府知事「日本のコロナ対策のキーワードは、医療崩壊です。感染者はゼロにはできないけれど、医療崩壊は避けましょう、とこれまでやってきた。崩壊のレベルがどこか、ルールを決めないと。政府が決めるのか、自治体が決めるのかはっきりさせないと」
文・栄