とくダネが取材した札幌市内の美容室では、ウレタンマスク着用で来店したお客さんに「札幌市のほうで不織布を薦めています」と不織布マスクを手渡し、付け替えをお願いしている。
きっかけは美容室オーナーが所属する地元消防団に届いた連絡メール。そこには「執務中のマスクはサージカルマスク(不織布マスク)と明確に定められたことです」「陽性者が発生した場合、布マスクだと濃厚接触者と判定され、職場内が全滅する恐れがあるからです」と書かれている。
こうした動きは全国でも広がっていて、ネットでは「私の会社では不織布以外のマスクは禁止」「娘の学校でウレタンマスクが禁止された」といった声も出ている。東京都の保健所も取材に対し「基本的にはマスクの有無で判断しているが、看護師や美容師など密接する職業の場合は不織布かどうかで判断する場合もある」としている。
不織布マスクには通気性、耐久性に劣る欠点も
マスクの素材で、効果にどれだけの差があるのか。とくダネでは都内空調会社の微粒子可視化システムを使って飛沫の飛散状況を検証した。その結果、ウレタン製や布製では大きめ飛沫が一部通過し、細かい飛沫がすり抜けて空気中に漂うのに対し、不織布マスクでは小さな飛沫が一部通過するのみだった。
マスクをつけた顔に甘い水を噴霧する実験では、味や匂いを感じたウレタンや布マスクに対し、不織布マスクでは甘さも匂いもなかった。
飛沫防止の効果が高い不織布マスクだが、通気性や耐久性は劣っているため、場面によって使い分けることが重要だという。
電気通信大学の石垣陽准教授によると、満員電車や混雑した初詣では不織布マスクを使うことが望ましいが、比較的空いている電車やお店の入店待ちではどのマスクを使っても可。ジョギングなど運動ではウレタンマスク、バーベキューなどでは火を使うため、引火しにくい布製マスクが適しているという。
小倉智昭キャスター「ここまで実験ではっきり見せられると考えざるをえなくなりますね」
石垣陽教授「マスクの材料によって、持っている性質が違うので理解した上で使い分けていただくのが良い」
丸田佳奈(産婦人科医)「私は使い分けています。普段のときは不織布で、お産のときはもっと密閉度が高いものを使っています」
立岩陽一郎(ジャーナリスト)「先生がおっしゃるようにケースバイケース。ジョギングのときは薄いものを使っています」
二木芳人(昭和大学教授)「隙間からの漏れがあるので、自分の顔にあうタイプのものを使うのも重要です」