<金曜日のソロたちへ>(NHK総合)
3人の私生活のぞき見の実験的番組。緊張や大げささもないが、とにかく目まぐるしい。同時に見せられ情報量が多すぎるのが難点

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   ソロ(ひとり暮らしの人)の部屋を4画面の定点カメラで楽しむ半分ドキュメントなバラエティー。ノンスタイル・井上裕介と能町みね子とゲストがウォッチャーとなり、その様子を解説する。この日のゲストは藤田ニコル。

   今回紹介されたソロは、撮影した日が33歳の誕生日という「自称 崖っぷち女優」と、撮影翌日から彼女と同棲を始める「WEBライター」、撮影する日もしない日も毎日がクイズ三昧の「クイズマニア」の3人。それぞれがひとり暮らしの部屋に帰宅して寝るまでを撮影しているのだが、崖っぷち女優は自分の生誕祭をライブ配信し、WEBライターは片付け中に元カノとの思い出の品々を捨てるかどうかで悩み、クイズマニアはテレビのクイズ番組に話しかけ、皆ひと時も休む間もなく忙しそうである。

  • NHK番組公式HPより
    NHK番組公式HPより
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自称「崖っぷち女優」は、なんでこんなに忙しいの?

   とくにこの日が誕生日だった女優・荒井まいさんはリモートで台本の読み合わせをしたあとに、自分の生誕祭を自作自演でライブ配信、それが終わったと思ったら、そそくさと自炊の夕食を食べ、深夜には友人が誕生日を祝いに訪ねてくる。そして就寝前にはオーディションの一時通過の知らせに喜ぶなど、とにかく目まぐるしい。仕事が終わった後でもまだこんなに忙しいのか...。

   一方、能町が「(キテレツ大百科の)勉三さん」と呼ぶクイズマニアの男性、酒匂(さかわ)さん(28)は荒井さんと対照的だ。テレビのクイズ番組や漢字検定の問題集、オンラインゲームなどで問題を解きまくるものの、ほとんどテーブルの前に座ったきり動かない。常に彼の膝に置かれている長年の友というスヌーピーのぬいぐるみ「スヌちゃん」にもちょっと癒される。

   それにしてもなぜこんなにクイズを解くのが好きなのか。じつは酒匂さんは現在はバイトと仕送りで何とか生活している状態だが、もともとは2年前には運送会社に就職。体育会系のノリが合わず辞めてしまったが、クイズを解いて知識を増やしながら自信を蓄えていけば、次の目標が見つかった時の糧になるのではないかと考えている。いまも就活用スーツを部屋の見えるところに飾り、時折自分を奮い立たせるという。見た目だけではわからなかったが、なかなかしっかりした若者じゃないか。井上も「いや、そうよ」と大きく頷き、能町も「Quiz Knockの2軍とかないのかね?」と酒匂さんをかわいい弟を見るかのような目で見つめる。

   それにしても、YouTubeなどのネット配信でいまや有名無名に関係なく、誰でも自分の考えや自分自身を世間にアピールできる時代。それを逆にテレビでやったらどうなる?!というような、ある意味でこれはとても実験的な番組のように思えた。私生活を覗き見られるソロたちも、へんに緊張していたり、大げさに見せたりすることもなく、自然体なのもとてもイマドキに思えた。

   とはいえ、たった30分番組なのに、3人分の生活を一度に見せられているため情報量が多すぎるのは難点。ホッとしたい金曜の夜に疲れてしまった。今後もメンツ次第で見るかな?!(12月4日(金)深夜23時45分放送)

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