「はやぶさ2」快挙の裏舞台は"想定外"の連続! 2回目のタッチダウンを決行するか、「決断」には重圧が降りかかっていた

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地球の水はどこから...起源は解明できるか

   スタジオゲストの初代はやぶさプロジェクトチーム・寺薗淳也さんは「小惑星まで行って着陸して帰るのには4つの段階がある。通り過ぎて、周回して、着陸して、サンプルリターンする。アポロ計画でも10年かけたことをはやぶさ2はいっぺんにやってしまった。すごいことです」と驚く。

   それを実現させるだけの技術がすべてコンパクトに詰められているはやぶさ2を津田さんは「お弁当箱」に例える。NASAの探査機「オシリス・レックス」が今年10月に地球近傍小惑星ベンヌからサンプルリターンを成功させたが、ここにはやぶさ2のノウハウを取り入れるためにレクチャーを受けに来ていたほどだ。

   リュウグウからのサンプルリターンが世界から注目される理由は、水の起源に迫ることで、生命の起源解明が期待されているからだ。地球が誕生した45億年前には水はなかった。では水はどこから来たのか。従来の説は氷でできた彗星が地球に降り注いだからというものだったが、6年前に欧州の探査機「ロゼッタ」に搭載された分析機器による調査で、彗星の水は地球の水と成分が違うことが判明し、彗星起源ではない可能性が高まってきた。

   彗星起源ではなく小惑星起源説を取る東北大学の中村智樹教授は、「リュウグウのサンプルを待っている状態」と話す。リュウグウの岩石には水素と酸素が含まれていることは観測データでわかっており、「惑星上で測定しても、地上で調べる足元にも及ばない。この手で解析できることが大事」と期待する。

   寺薗さんは「ダイヤでも水晶でもない水がなぜ大事なのかというと、ただの水じゃないから。小惑星に残っている水を調べることで、生命の起源、太陽系のでき方をしるきっかけになるかもしれない」と話す。

   カプセルを投下したはやぶさ2は今、地球から11万キロ離れた場所にいる。津田さんは「はやぶさ2はすでに減価償却して自由の身。宇宙探査の醍醐味を楽しんでほしい」とわが子を見るような目で語った。

NHKクローズアップ現代+(2020年12 月8日「世界をリード 日本の小惑星探査~密着 はやぶさ2の舞台裏~」)

文   バルバス
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