PCR検査を希望したにも関わらず、「コロナではない」と医師から診断され検査を受けられなかった男性が、死亡後の検査で感染が判明した事例があることが明らかになった。
亡くなったAさん(42)は金沢大学の薬学系の准教授で、石川県外から金沢市内に単身赴任中だった。ぜんそくの基礎疾患があったという。
Aさんは11月16日(2020年)に強い倦怠感を覚え、4日後の20日に39度台の発熱があった。21日に近くの医療機関を受診するが、インフルエンザ検査は陰性だった。Aさんは石川県発熱患者等受診相談センターに「PCR検査を受けたい」と希望したが、「かかりつけ医の判断がなければ検査は受けられない」と言われたという。
翌22日に熱は37度台に下がったものの、咳とのどの痛みがあった。Aさんは24日に最初に受診した医療機関で再受診したが、その後、妻に「自宅近くの医院で『コロナではない』と言われた」とメッセージを送っていた。
専門医「コロナを念頭に診察すべきだった」
Aさんは25日朝から音信不通になり、26日に自宅で死亡しているのが発見された。死亡後に行われた保健所の検査で、新型コロナに感染していたことが判明した。死因は「不詳の内因死(病死)」。直接死因には関係ないが影響を及ぼした傷病名として「新型コロナウイルス感染」と記載されたという。
Aさんの妻は「検査が間に合い入院できたら夫は助かった。検査するかの判断が医師に限られていることは良くない。ちょっとでも具合が悪いと思ったらすぐに検査を受けられるようにしてほしい」と訴えている。
昭和大学医学部の二木芳人客員教授は「強い倦怠感というのはコロナの1つの特徴です。インフルエンザが陰性だったのであれば、コロナの可能性は念頭において診療をすべきです。もう1度診察した時、(医師が)何をもって『コロナではない』という判断をしたのか疑問です。私だったらそのタイミングでコロナの検査だけはしておかなくちゃいけないと考えます」と話す。
司会の羽鳥慎一「今回の場合は無症状ではなく、症状が出ている人でした。そういう人がPCR検査を受けられない状況がまだある」
青木理(ジャーナリスト)「また第1波と同じようなことが起きていますね。PCRの需要に対して政府や自治体、保健所などが対応しきれていないことで命が奪われる事例が出ているということを極めて深刻に受け止めなくてはならない」