北海道の富良野が「第2のニセコ」として外国人投資家から熱い視線を浴びている。富良野市の西に位置し、スキー場のある北の峰地区ではコンドミニアムが続々と建設され、高級リゾート化がすでに始まっている。
今月(2020年12月)オープンしたばかりの1部屋2億円以上するコンドミニアムは、香港の企業が開発を手掛けた。スキー場のすぐ目の前という立地や、バスルームが2つある3LDKの贅沢な造りが魅力だ。コロナ禍にも関わらず、中国人をはじめとする海外の投資家がリモートで爆買いし、33戸が完売した。
富良野の人気の理由はその地価にもある。値上がりはしているものの、ニセコの5分の1程度。割安感があり、コロナで経済が冷え込む中でも注目されているという。地元の不動産会社は「買い手の多くは中国系企業。今、中国人はお金をつかいたくてうずうずしている。『第2のニセコ』になると見越し、投機目的などで購入している」と話す。
富良野への投資を検討している北京の旅行会社社長は、「(投資額は)日本円にして1億円からです。自分用のマンション建てたり、一戸建て建てたり。土地を買うならもっともっとですね。実力を持っている友達も連れて行くから何百億以上は絶対に使う」と、コロナ禍後の爆買いに意欲を示した。
放置されている土地や物件、「こわい」と住民は不安感
しかし地元住民には不安も広がっている。新型コロナの影響で、中国人投資家が購入した広大な土地はいまだ空き地のまま。海外投資家に売却済みの多くの一軒家もそのまま空き家状態になっているのだ。地元住民は「夜はゴーストダウン状態です。ちょっとおっかない。誰が住むかも分からないですし」と言う。
青木理(ジャーナリスト)「北海道はもともと経済が冷え込んでいたところ、コロナでインバウンドもゼロになってしまった。そういう視点から見れば、こういう形で投資が入ってくることは北海道にとって決して悪いことではない。ただ急激な開発によってきれいな風景や地元の食べ物が荒らされてしまうことは心配です」
玉川徹(テレビ朝日コメンテーター)「ニセコもそうですが、日本人が気づかない魅力って日本にはいっぱいある。それで今空き家が多いところが再生されていくこともあるのではないか。北海道だけでなく、日本中の空き家も、ホテル業者が管理すれば通年貸せます。気づいていないだけで、これはビジネスチャンスなんじゃないか」