私がプロデューサーをしていたときに作った人気音楽バラエティ「THE夜もヒッパレ」のことをお伝えします。
この番組は、1995年4月から2002年9月まで、日本テレビの土曜日午後10時から1時間放送されていました。当時は音楽番組が「ミュージックステーション」しかない時代でした。だから、"音楽番組はある"と考え、ハウフルスの菅原正豊と話して、ランキング番組をやろうということになりました。
といっても、当時のランキングに入ってくるアーティストには、テレビ番組に出演しない人が多かったので、菅原のアイデアで、それを"逆手"にとって出演アーティストの持ち歌を禁止し、邦楽トップ10に入っている曲を歌ってもらう番組にしました。
レギュラー出演者は司会に三宅裕司、マルシア、赤坂泰彦、中山秀征。ビジーフォーのグッチ裕三・モト冬樹がバンドとして出演。「見たい・聴きたい・歌いたい!」をキャッチフレーズに、スタジオに吊った鯛のオブジェを"かぶせて"ズーム・インしました。
音楽番組が"当たる"3つのポイント
第1回目のトップ・バッターとして和田アキ子に出演してもらい、他人の曲を歌ってもらうことに、成功しました。
しかし、「昔の名前で出ている歌手で、カラオケ大会をやっている」という、批判を浴びて、最初は苦労をしました。そこで、当時まだあまり売れてなかった安室奈美恵with SUPER MONKEY'Sをキャスティングし、ランキングが決まってから、SMAP等のアーティストをキャスティングしました。
そうしているうちに、例えばチャゲ&飛鳥の曲を狩人が歌うのを聴いている視聴者の家では、母子の会話が成立するのです。どういうことかというと、母親は「狩人は知っているが、チャゲ&飛鳥の歌は知らない」。子供は「チャゲ&飛鳥の歌は知っているが、妙に歌の上手い2人組はだれなの?」ということです。
これは、今の音楽番組にも通用することだと思いますが、音楽番組が"当たる"3つのポイントがあります。
1つ目は、出演者の新旧のバランス。
2つ目は、母親世代と子世代のバランス。
3つ目は、お笑いと音楽のバランス。
加えて「TH夜もヒッパレ」には、セットも照明も素晴らしいものがありました。