1963年~67年にかけて米ABCテレビで放送され、1993年にはハリソン・フォード主演で映画化された人気サスペンスが、現代の日本を舞台に『テレビ朝日開局60周年記念番組』として甦った。
都内の高級住宅街にある大学病院勤務のエリート外科医・加倉井一樹(渡辺謙)の邸宅で、加倉井の妻・陽子(夏川結衣)と家政婦が殺された。
その夜、加倉井は陽子を連れ、恩師の帝都医科大学名誉教授・沢村八郎(山本學)の「喜寿を祝う会」に出席していた。そこには帝都医大教授で内科医・宮島光彦(杉本哲太)や、同じく教授で外科医・石森卓(村田雄浩)、加倉井の後輩で東日本大学病院の内科医・松崎美里(稲森いずみ)らの顔があった。
途中で緊急手術の要請が入ったため、加倉井は陽子を先に帰宅させ、自分は病院に向かった。手術を終えた加倉井が深夜に帰宅すると、1階の廊下で家政婦が、2階の寝室で陽子が、サバイバルナイフで胸を刺されて絶命していた。
加倉井は思いもよらぬ惨事にがく然としながらも、逃げようとする男を発見して飛びかかった。だが、格闘の最中に頭部を殴られ、気絶してしまう。
「義手の男を追ってくれ」と訴えるが刑事は取り合わない
犯人の左腕が義手だったことを思い出した加倉井は、警視庁捜査一課刑事・浅野和志(篠井英介)に事情聴取で「義手の男を見つけてくれ」と訴えるが、浅野は「そんなの、あんたのデッチ上げだ」と取り合わず、加倉井が2人を殺害したと断定して逮捕する。現場に侵入者の痕跡は何ひとつ残されておらず、凶器のサバイバルナイフに加倉井の指紋が付いていたこともあり、裁判で死刑判決が下された。
妻殺しの汚名を着せられ、絶望の底に突き落とされた加倉井に3年後、大きな転機が訪れる。加倉井は東京から名古屋の拘置所へ移送されることとなり、同じ移送バスに乗っていた爆弾テロ事件の首謀者・嶋岡正彦(天野慶久)の仲間らが、嶋岡奪還のため山中で護送車を襲撃してきたのだ。横転し炎上した車内から辛くも脱出した加倉井はそのとき、自分の無実を証明するためにも、何の罪もない妻と家政婦を殺した真犯人を捜すことを決意し、深い森の中へと姿を消す。
テロ対策の一環として創設された警視庁特別広域捜査班がまもなく襲撃現場に到着し、班長の警視・保坂正巳(豊川悦司)は、鴨井航(三浦翔平)、柏木弥生(原沙知絵)ら部下に「30㌔圏内を隈なく捜索しろ。抵抗すれば射殺する」と指示を出し、まずは強硬手段で嶋岡らテロ集団を制圧した。
保坂はさらに「加倉井が無実かどうか、俺は興味ない」と言い放って追跡を開始し、加倉井を岩盤をくり貫いた坑道に追い込んだ。その先には、深い渓谷に渡された一本のパイプがあった。
追い詰めていく警視庁特捜班長、心のどこかで通じ合う何かが...
そのパイプを渡ろうとしていた加倉井は「俺は陽子を殺していない」と訴えるが、保坂は「俺の知ったことか!」と吐き捨てて拳銃を向ける。追い詰められた加倉井は「陽子っ!」と叫び、谷底の渓流に飛び込んで逃走した。
「あの殺人は俺を陥れるためだった。陽子はその犠牲になったのだ」との確信する加倉井は東京に戻って潜伏し、協力者の支援を受けながら次第に事件の核心に迫っていく。
一方、「標的にされて逃げ切れた犯人はいない」と評判の非情な叩き上げ刑事で、犯罪者の心理など顧みることのない保坂だったが、加倉井をじりじりと追い詰めていくうちに「なぜ加倉井は逃げ続けるのか?」と疑問を抱くようになる。そして、『追う者』と『追われる者』の間に心の奥底で通じ合う何かが生まれたとき、加倉井はついに意外な真犯人にたどり着く。(両日ともよる9時放送)
寒山