コロナ不況で困窮し、追い詰められる女性たちが増えている。解雇され、風俗店や「パパ活」に走り、性暴力の危険も。男女間の就業格差という構造的な問題が表面化している

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女性の就業者が激減,男女間格差が弱い人を直撃している

   番組は、画面の右上にQRコードを表示して、国などが設置する相談サイトを紹介した。そのうえで、内閣府「コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会」座長を務めた白波瀬佐和子・東京大学大学院教授らに話を聞いた。

   白波瀬教授は、「最も大事なポイントは、今まであった構造的な問題が表面化したということ。就業者数を見ても女性の減り方(3月から4月にかけて70万人減)が大きい。その背景には、コロナ下の直撃を受けた飲食業、対人サービス業に女性が集中していて、とくに非正規、不安定な職業の人たちが多かった、ということがある。60年代以降の男女間の格差構造がいま、弱い人に出ている」。

   作家の石井光太氏は、「いま個人売春が増えているといわれています。風俗業がコロナ下でダメになり、女性たちが個人売春に走らざるを得なくなった。経済的に追い込まれた女性たちが、ダイレクトに個人売春に落ち込んでいっているのが現実だ」。石井氏は、「初めはデートをしてお金をもらうというビジネスだった。やわらかい言葉に聞こえるが、数年前から完全に売春を、とくに一番リスクが高いといわれる個人売春を指す言葉になった」という。「お店に守ってもらえないから、恐喝をされたり病気をうつされたり、危険がたくさんある」。

   未成年の少女たちへの影響も深刻だ。家庭内で問題を抱える少女たちが行き場を失って、性的な被害を受けるリスクが高まっている。10代から20代の女性を支援する福岡市のNPO「そだちの樹」に相談にやってきた少女(18)は、コロナ下で仕事が見つからず、かといって実家にも帰れない。「8月はマジで廃人生活でした。レトルトの味噌汁を飲みまくった。ホームレスもありかなって」。

   家族との関係がうまくいかず孤立した少女たちは、その思いをネットに書き込む。「さみしい」「繋がりたい」そんな言葉を、パパ活の男性側も見ている。NPOでは、SNSをこまめにチェック、返信し、専門の相談機関を紹介する。しかし、少女たちの書き込みは、目につくだけでも膨大で、対応が追いつかない。「死にたい」「消えたい」「つらい」というつぶやきも。「死にたい」だけでも、回答受付中だけで3043件がヒット、解決済みも入れると33万件を越える。石井氏は、「コロナによって家庭環境が悪くなって、13,4,5歳で逃げる。個人売春に走るしかない、という非常に危険な状態だ。これを認識して家庭や学校でどう防ぐかを考えなければ」と警告する。

文・栄 

   ※NHKクローズアップ現代+(2020年12月1日放送「"パパ活"の闇 コロナ禍で追い詰められる女性たち」)

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