コロナ不況で困窮し、追い詰められる女性たちが増えている。解雇され、風俗店や「パパ活」に走り、性暴力の危険も。男女間の就業格差という構造的な問題が表面化している

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   新型コロナ下で経済的に追い詰められ、風俗店などで働く女性が増えている。6歳の子を育てるシングルマザー(29)はこれまで、飲食店のアルバイトと介護の仕事をしてきたが、コロナの影響で飲食店は閉店。介護の仕事だけでは収入が足りず、働く時間の融通がきく風俗店で働くことにした。「本当に嫌でした。一緒にお風呂入ったり。コロナとか風邪とか、いろんな菌、何持ってるか分からないから。その菌が子どもにうつっちゃったらどうしようとか、今でも怖い」。

   困窮する女性の間で秘かに広がっていると見られるのが「パパ活」だ。ネットを通じて知り合った男性と食事などをすることで、金銭が提供されるという。3か月前からパパ活を始めたゆかりさん(仮名、独身=28)は、これまでアパレルの派遣社員として働いてきたが、緊急事態宣言後に勤め先が休業、解雇された。「再就職で、こんなに何社も面談を受けて決まらなかったのは初めて。どうにかして生活費を稼がなきゃいけないとなった時に、パパ活を知った」

   パパ活は性暴力にさらされるケースもある。30代の専業主婦は、「無理やり(性)行為を強要されたり、避妊に協力してくれなかったり、逃げるに逃げられなかった」。コロナ禍で追い詰められる女性に、何が起きているのか。

  • (NHK「クローズアップ現代+」番組公式サイトより)
    (NHK「クローズアップ現代+」番組公式サイトより)
  • (NHK「クローズアップ現代+」番組公式サイトより)

風俗業界も不況、「客がゼロ」の日も珍しくない

   ホテルなどに女性を派遣し、性的なサービスを提供する東京・池袋の風俗店。半年ほど前から働く20代後半のけいこさんは、以前は派遣の仕事をしていたが、コロナの影響で契約を切られた。資格や特別なスキルもなかったため、再就職先が見つからず、コンビニでアルバイトをしながら、やむを得ず風俗で働くことにした。「アルバイトの時給は最低賃金で、生活は厳しかった」。

   非正規の労働者は解雇されるなどで減少、そのうち7割が女性だ。風俗業界に足を踏み入れる女性も少なくない。しかし、風俗業界もいま、不況に見舞われている。この店もコロナの発生以降客足が遠のき、売り上げは去年の5分の1に落ち込んだ。出勤しても客が来なければ、報酬はゼロ。最近は8時間待機しても客が全く来ない日も珍しくないという。「働かなかったら生きていけないし、こんな状態が続くのかな、と思うとちょっと怖い」とけいこさんは言う。

   行き場を失った女性たちがワラにもすがる思いで駆け込むのが、夜の仕事で働く女性たちの転職を支援する会社だ。問い合わせは去年の1.5倍に増えた。風俗と派遣キャバクラ勤務の女性(31)は、「コロナをきっかけにドンとお客さんが減って。仕事を変えなければとなって」。風俗店勤務の女性(27)は、「家賃は払えないし奨学金も返せない」。しかし、この会社でも紹介できる就職先は去年より約3割減った。「昼間の仕事といっても、スキルや経験がある人から採用されていくので、むちゃくちゃ厳しい」と担当者は言う。

   風俗で働く女性(29)は4月、茨城県や神奈川県の風俗店に「出稼ぎ」に行った。「風俗イコール稼げる、というのはもうない」。家賃や光熱費を滞納、スカートなど家にあるものを売り始めた。ハンガー5本が2555円で売れた。風俗とパチンコ店で働く女性(25)は、収入が月10万円。朝食は最近いつもプロテインだ。大学生の時に母親が自殺。奨学金返済のために風俗に。将来の夢は手話通訳士だが、レッスン代も払えなくなった。「コロナがなくなったら、一から出直したいけど」。

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