4月にスタートしたコントバラエティー番組。タイトルの「志村」は今年3月末に亡くなった志村けんから命名。志村はフジテレビの深夜の時間帯で実に17の冠コント番組を24年以上にわたって担当していた。18本目は、ゲストを呼んでのトーク番組の予定だった。ところが、急逝により、企画は変更となった。それが本番組だ。
17番組1000回を超える放送の中から選りすぐりのコントをピックアップ。千鳥の大悟とアンタッチャブルの柴田英嗣がMCとなり、志村ゆかりのゲストと一緒に見ながら、コントにまつわる裏話や知られざるエピソードを語り合う内容となった。
この日のゲストはザ・ドリフターズ時代から数えて50年以上の付き合いだという加藤茶。先週に引き続いての登場だ。先週はドリフの付き人(ボーヤ)だった志村が荒井注脱退により、メンバー入り。下積みの頃から志村の天才ぶりを目の当たりにし、その類まれなる才能をリスペクトしていた加藤の後押しでメンバーに昇格したことが語られた。
メンバー入り最初の1年は鳴かず飛ばず、悩みに悩んだという
今週はメンバー入りしたものの、最初の1年くらい鳴かず飛ばずだったという裏話を披露。柴田はびっくり仰天。加藤が飲みに誘っては激励した秘話が語られた。落ち込んでは酒を飲み、酔っぱらっては愚痴を言い、悩みに悩み抜く日々を送ったが、加藤の親身なアドバイス「自分がやりたいものをやってみな」で吹っ切れた志村。次第に自分のアイデアを提案するようになり、それがドカンドカンと当たり、大爆笑。リーダーのいかりや長介も一目置く存在に。ついに飛ぶ鳥落とす勢いのスターになったと解説。確かに放送されたコントで、志村は実に生き生きとしており、油がのっているのがよくわかる。
コント「ナンパおやじ」は、海の家が舞台。アロハシャツ姿の志村がナンパを決行、運よく落とすのに成功。ハゲちゃびんの加藤も負けじと大ハッスル、2人目の美女に猛アタック。すると後ろから全身タトゥーのヤ〇ザが現れ、頭をはたかれ撃沈してしまう。今度こそはと意気込む加藤の目の前を美女4人揃い踏みで更衣室へ。着替えを覗こうといきりたつと、何と出てきたのは、下着姿のおばあちゃん4人。たちまち加藤を取り囲み、取って食いそうな勢い。志村はさっさとトンズラ。ハーレム状態に面食らうも、加藤はいきなり手を合わせお経を唱え始めるのだった。
アナログ時代のコント、セクハラパワハラまがいのエグいネタばかり
アナログ時代のコントだけに、出てくるものはかなりエグイ。コンプライアンス遵守の令和時代に想像もつかない代物ばかりだ。SM倶楽部の女子高生女王様や首輪につながれ鎖で引きづり回されるブリーフ奴隷男、病名を聞かれたくない淋病患者、やおらストリップを始めるタイガーマスク、股間をつつきあう師匠と弟子など、今の時代では見られないネタばかり。パワハラだ、セクハラだ、いじめだと抗議の嵐間違いなしだろう。
それだけに貴重なことこのうえない。古き良き時代のコントを懐かしみたい往年のファンはもちろん、未知なるものに触れたい若人にもお勧め。体を張って笑いを取った最後の芸人、志村けん。この番組を見て跡を継ぐ者が出れば、本望だろうか。(敬称略)(フジテレビ:11月17日(火)深夜12時55分~)
知央