ひとり芸日本一を決める来春の「R-1グランプリ2021」(関西テレビ・フジテレビ系)の開催要項が25日(2020年11月)発表され、参加資格の変更が行われた。19年目を機にリニューアルされ、芸歴10年以内という条件が加わった。アマチュアにも再び門戸が開かれ、参加歴が10回未満なら参加可能に。
具体的な参加資格の変更はこうだ。
(1)プロは、芸歴10年以内であること(2010年1月1日以降に活動を開始していること)
※お笑いの養成所期間は、芸歴から除く。
※お笑い以外の活動期間は、芸歴から除く。
※プロとしての活動休止期間は、芸歴から除く。
(2)アマチュアは、Rー1への出場が今回で10回目以内であること。
「落語をはじめピン芸は芸を磨くのに時間がかかる」
これに対して、ネット上では賛否激論が戦わされている。まず批判派はこうだ。
「売れない中堅芸人が必死にあがきもがく姿こそがこの大会の存在意義。参加資格変更で『R-1』の存在意義を失うくらいなら、逆に芸歴10年以上のピン芸人による『P-1』を開催したほうがよっぽどましだ。スポンサーが集まらないがゆえの苦肉の策なのだろうが、人生の酸いも甘いもかぎ分けて地べたを這いずり回り中年になっても売れず、それでもなお這い上がり立ち上がろうとする中年の星・中堅芸人にとっての最後の希望をとりあげないでいただきたい。三浦マイルドやハリウッドザコシショウ、アキラ100%や中山功太の何があかんのですか!」
「芸歴制限よりもピン芸人限定にしてほしい。出たいならコンビを解散して覚悟決めて出てほしい。そうしないと本来のピン芸人が浮かばれない」
「R-1チャンピオン過去17人のうち、コンビの片方なのは、博多華丸・COWCOW多田・霜降り粗品・マヂラブ野田の4人。浅越ゴエとなだぎ武はほぼピン活動だけど、優勝時はともに同じグループ(ザ・プラン9)。確かに多いね。全部吉本だ」
「M-1が始まってからは、『とりあえず10年、漫才やってみよか』って風潮になって、10年を一区切りに芸の世界から足を洗ったり、また相方さんの急逝や不祥事やらでコンビを解散したり、それこそピン芸人になる人が現れて頭角をあらわす人もいる。そこからという人も多いはずだ。出来たらピンでもこの世界で頑張ろうというセカンドチャンス的な意味合いでも芸歴制限のない方がいい」
「M-1が始まった当時、紳助が出場資格を10年にしたのは辞める切っ掛けを作るためと語っていた。でも、落語をはじめピン芸は芸を磨くのは時間がかかる」
「IT企業外国人役員に負けるほどピン芸人のレベルが低い」
これに対してはこんな反論が相次いだ。
「片手間でネタやっているIT企業役員の外国人にすら負けちゃうくらいピン芸人は全体的にレベル低すぎだもん。コンビの片割れでもなんでも面白い奴が出てくれないと放送事故になるよ。ただでさえなりかけているのに」
「飛び道具持って来た奴の勝ちみたいな部分がどうにかならないか。近年の芸人さんの追求する笑い・面白さが自分の求めるそれとズレてきた。コンビの人気を引きずって登場する人、下品なもの、喚いているだけのもの、子供にしか受けなさそうなもの。ふるいにかけるなら年数でなく技術であってほしい。それこそ日本一だと思う」
「今でも微妙な大会クオリティーなのに、芸歴制限にコンビ芸人制限までしたらかなりレベル下がるんじゃないかな。それだけコンビ芸人の片割れより面白いピン芸人がいない(少ない)って事でしょ。それにコンビ芸人でも単独で力を発揮する機会があっても別にいいと思うが」
「ピン芸人に日常的にテレビに出させる機会を作ってあげて」
審査員や観客の問題を指摘する声もあった。
「審査員も尖った芸風、新しい芸風をきちんと評価できる人たちにしないと。ネタのスタイルに制限がないからこそ、単純な面白さに加えてネタのクオリティーや発想を評価しないといけない」
「審査員もそうだが、観客の質も改善すべきです。粗品さんが優勝した年はとにかく悲鳴や感嘆の声など笑い声以外の反応が明らかに大げさすぎた。審査員も観客の反応は審査のうえである程度参考にするだろうし、斬新なネタも評価される大会にするには観客も見直す必要があると思います」
出場経験者からこんな意見があった。
「一度アマチュアとして出た事あるけど、客席ウンともスンとも言わんかった。地獄のような2分間だったな」
「自分の場合は、客席は沈黙が続いたけど、制限時間のブザーが鳴って『まずい、帰らなければ』と言ったら、少しだけ笑い声が聞こえてきました。それでも1回戦で落ちたけど」
最後にこんな意見を紹介したい。
「出場資格を芸歴10年以内に絞るのは下積みの長い芸人から飛躍のチャンスを奪うことになるから残酷だ。コンビ芸人の片割れは排除という意見にも違和感がある。いつ何どきコンビの片割れがスキャンダルや病気などで欠けるか分からない時代。相方に依存しすぎて一人出演できない芸人は、いつピンになっても生きていける芸を磨くべきだ。しかし、ピン芸はどうしてもこじんまりしていて寄席っぽく、じわじわ笑わせるものが多いから、そもそも点数で競わせるのが酷なんだと思う。テレビでだらだら見ている分には面白いのだから、年に一人だけに500万円与えるというより、面白いピン芸人を、バイトしなくても食べていける適正なギャラで日常的にテレビに出させる機会を作ってやってほしい」(テレビウォッチ編集部)