北海道では17日(2020年11月)、新たに197人(うち札幌市が150人)の新規感染者が判明した。これは東京都の人口に換算すると523人で、東京都の過去最多の472人(8月1日)を上回る数字だ。感染制御学専門の東邦大学の小林寅喆教授は「北海道は今後、500人という数字が出てきてもおかしくない状況です」と指摘する。
北海道で患者が急増している理由は4つ。空気が乾燥していてウイルスには好都合であること、気温低下による換気不足、Go Toトラベルによって人の移動や集中があること、繁華街で「夜の街クラスター」が頻発していることだ。小林教授は「(札幌は)歌舞伎町の若者たちの間で感染が広がった時と同じような状況になってきているので、そこを中心に抑えていかないと後で大変なことになる」と指摘する。
専門医「このままだと、東京は一日1000人を超える」
心配なのは医療体制だ。現時点では病床使用率は71%、軽症患者の滞在するホテルの部屋の使用率は70%。しかし小林教授は「この数字は全体を表しているもので、施設によっては既にいっぱいになっているところもあります。かなり厳しい状況だと考えなければなりません」と言う。
道は札幌市で「不要不急の外出自粛」「市外と不要不急の行き来を控えるよう要請」「ススキノのスナック・バーなどの営業は午後10時まで」などの対策を取る。しかしその一方、北海道は国の「Go Toトラベル」からは外されておらず、矛盾した状況になっている。
小林教授は「感染症対策というのは、いかに早く先手を打つかが大事です。感染者がある程度増えてしまうと、そこからは急激に増えていきますから。早めに(Go Toトラベルの)運用の見直しをしていかないと、感染症対策としては後手後手になってしまいます」と話す。
東京都も他人事ではない。小林教授は、このままだと東京の1日の感染者数は1000人を超えると見ている。東京都の感染者を広げないために今できることは?小林教授は「飲食店に1組4人まで、1時間半以内の利用などの営業制限をかける」「Go Toトラベルから北海道など急増地域は一時的に外す」という2つの対策を挙げた。
キャスターの立川志らく「先手先手が必要なら、東京も今対策を打つべきなのに、何もしていない。500人、600人になってから外出自粛しても手遅れだと、前回で知っているはずなのに、なぜそれを早めにやろうとしないのか」