新型コロナウイルスの感染者が増え続けている北海道では、札幌市が独自の警戒ステージを、3から4に引き上げると発表した。ステージ4は「感染者の急増及び医療提供体制における大きな支障の発生を避けるための対応が必要な段階」だ。
北海道は、新規感染者数が12日に236人と過去最多を記録するなど4日連続で200人を越えた。その半分以上は札幌市で、8日連続100人超え。同市南区の特別養護老人ホームや別の有料老人ホームでもクラスターが発生した。
「さっぽろ二条市場」の佐々木一夫理事長は「2月の『緊急事態宣言』の時は、翌日から売り上げゼロ。今回も覚悟している」と言う。同市内のホテルでは、昨日の夕方からキャンセルが増え、今週末からの3連休は当初は満室に近かったが、3分の2くらいに落ち込んでしまった、という。
直近1週間(10~16日)の感染者は、札幌市の957人に対し旭川市42人、釧路市23人、小樽市21人(8~14日)、函館市10人。小樽市観光振興室は、「各地域の往来が自粛されると、周辺市でもキャンセルが出ると思う」。函館市の五稜郭タワーでは「学校のキャンセルが出ている」。
鈴木道知事は、GoToトラベルについて「明確な根拠はないが、感染リスクを回避できない場合は利用を控えていただくことになる」。ただ、加藤勝信官房長官は、北海道対象のGoToトラベルについて「専門家も現時点ではそのような状況にないという認識を示している」として、除外には否定的だ。
GDP上昇はGotoキャンペーン効果、飲食や旅行は持ち直したが...
一方で、緊急事態宣言解除後の今年7月~9月の実質GDP(国内総生産)の成長率は、前期比で5%の増、年率換算では21.4%と、昨年同期以来1年ぶりのプラスに転じた。
経営コンサルタントの坂口孝則さんは「前期からの反動としては当然。Gotoキャンペーンが寄与した部分もあったと思う。やったら経済効果があり、やらなかったら倒産や失業者が増えるのは明らかだ」。飲食や旅行など個人消費は持ち直したが、企業の設備投資は落ち込んだままだ。
高橋真麻(フリーアナウンサー)「国民それぞれが判断してください、と言うことですよね。私の周りを見ても、Gotoトラベルを利用している人はこんなに素晴らしいシステムはないと言う一方で、感染リスクあるしやめた方がいいよ、と言う人もいる。全く違う価値観と考え方を持っている」。
一方、米国モデルナ社は、新型コロナウイルスのワクチンについて94.5%の有効性を確認した、と発表した。3万人以上を対象に臨床試験の最終段階にあり、その初期データに基づく暫定的な結果だ。日本政府は、モデルナがワクチン開発に成功した場合、2500万人分の供給を受ける契約をしている。
経済と感染防止の両立、どう判断するか、正念場だろう。
文・栄