11月4日(2020年)、河野太郎行政改革担当大臣は記者会見で「押印が要らなくなったものについてはペーパーレスでやれると思っております」と発言、行政手続きでの紙やFAXの廃止にのりだした。
これに対し街の声は「スキャンして電子化して送付したり、ペーパーレス化が進んでいる」(IT業)、「データ媒体で持つほうがいい」(船員)と賛成の声の一方、「メールが苦手でFAXで送ってほしい方もいる。必要です」(一般社団法人)、「FAXはハンコついてるやつをそのまますぐに送って、先方もパソコン立ち上げずに見られる」(金融業)など、戸惑いの声も聞かれる。
不動産物件申し込み、プレスリリース、弁護士事務所...
どんな業界でFAXが必要とされているのだろうか。
不動産業界では、多数の物件オーナーから書類取り寄せるのだが、不動産オーナーは高齢者が多く、まだまだFAXが主流となっている。物件申し込みもFAXが使われ、契約は申し込みがFAXで届いた順となっている。
マスコミ業界でもFAXが活躍している。マスコミ各社に送られるプレスリリースはFAXが多いが、その理由はメールだと件名を見ただけで削除されやすいからだという。FAXは紙で出ているので、捨てていいかどうか誰かに確認してもらえるという利点がある。
大手FAX機器メーカーによると「中小企業はパソコンが一人一台ではない。FAXは従業員全員が使えるツールとして活用されている」という。
青木理(ジャーナリスト)「原稿ゲラは若い人はパソコン画面でアカ入れしているんだろうけれど、私はアナログ世代なので、プリントアウトしてアカ入れ、スキャンして送信している」
玉川徹(テレビ朝日コメンテーター)「私は自宅のFAXはなくしました。紙を買ってこないといけないし。一方、ナレーション原稿チェックやインタビュー書き起こしでどの部分を使うかというのはパソコン上ではできない。紙にして赤で囲ってやらないとできない」
司会の羽鳥慎一「そういうのは若い人だとできちゃうんですか」
山本雪乃(テレビ朝日アナウンサー)「できちゃいますし、タブレットのスクリーンショットに『ここが大事』と書けたりします」
羽鳥慎一「年代ですね。そのうち移行していくんでしょう」
玉川徹「紙は要る」
青木理「僕とか玉川さん死なない限り無くならないでしょう」
菅野朋子(弁護士)「改ざん防止などの理由から、裁判所への書類は持参・郵送・FAXと法律で決まっていて、メールではやりとりできない。その慣習から弁護士間ではメールでやりとりできることをFAXで行う」
青木理「逮捕令状とか、法律の絡んだ問題が出てくる。刑事ドラマもそのうちタブレットで逮捕令状みせるようになるかも」