トランプの善戦は、ニクソン、レーガン、ブッシュなどが打ち壊してきた民主主義を、彼が叩き潰したというところだろう。
現代で、『民主主義の死に方』の著者でハーバード大学教授のスティーブン・レビツキーが、「トランプの善戦は、アメリカ民主主義の弱体化を象徴するような出来事です」といっている。別に、トランプが民主主義を壊したわけではなく、既にその前から、ニクソン、レーガン、ブッシュなどが打ち壊してきていたのを、トランプが叩き潰したというところだろう。
同じようなことは日本の安倍晋三政権でも起きた。レビツキー教授がいうように、「民主主義選挙によって選ばれた人間が、司法を抱き込み、メディアを黙らせて『合法的に』独裁化を進めていく。これは、アメリカに限らず、全世界的に見られる『民主主義の死に方』です」
ロシアのプーチンロシア大統領などは、ロシアの憲法をねじ曲げ、20年にわたって君臨し続けている。中国の習近平主席も同じである。菅首相も同じようなことをしようと思ってはいるのだろうが、何しろ、ボキャブラリーの少なさと、知性の欠如が顕著過ぎて、ポチ以外は誰もついてこないから、無理だろうな。
アメリカの大統領選に「選挙人」という制度を設けたのは、ポピュリズムに対する警戒心があったからだという。当時の英国から移って来た入植者は、食べることに必死で、読み書きすらままならなかったという。彼らが一時的な情動に従ってリーダーを選ぶと、誤った結果になりかねないため、選挙人というクッションを置いて、大統領を選ぶという手の込んだ間接民主制のシステムが導入されたという。
だが、これまで十全に機能してきたとは思えない。『歴史の終わり』の著者でスタンフォード大学上級研究員のフランシス・フクシマは、こう話す。
「民主主義には『抑制と均衡』によって自己修正する機能があるからこそ、20世紀の間、広く多くの国家に受け入れられてきた。しかし、その伝統を民主的選挙によって選ばれた指導者たちが破壊しようとしているのは、何とも皮肉なことです」